礼記 / 燕義
君舉旅於賓、及君所賜爵,皆降再拜稽首,升成拜;明臣禮也。君答拜之,禮無不答;明君上之禮也。臣下竭力盡能以立功於國,君必報之以爵祿,故臣下皆務竭力盡能以立功,是以國安而君寧。禮無不答,言上之不虛取於下也。上必明正道以道民,民道之而有功,然後取其什一,故上用足而下不匱也,是以上下和親而不相怨也。和寧,禮之用也,此君臣上下之大義也。故曰:「燕禮者,所以明君臣之義也。」
新字:君舉旅於賓、及君所賜爵,皆降再拝稽首,升成拝;明臣礼也。君答拝之,礼無不答;明君上之礼也。臣下竭力尽能以立功於国,君必報之以爵禄,故臣下皆務竭力尽能以立功,是以国安而君寧。礼無不答,言上之不虚取於下也。上必明正道以道民,民道之而有功,然後取其什一,故上用足而下不匱也,是以上下和親而不相怨也。和寧,礼之用也,此君臣上下之大義也。故曰:「燕礼者,所以明君臣之義也。」
書き下し
君、旅(りょ)を賓に挙げ、及び君の賜う所の爵は、皆降りて再拝稽首し、升りて拝を成すは、臣の礼を明らかにするなり。君これに答拝するは、礼答えざる無し、君上の礼を明らかにするなり。臣下、力を竭(つ)くし能を尽くして以て功を国に立つれば、君必ずこれに報ゆるに爵禄を以てす。故に臣下皆力を竭くし能を尽くして以て功を立つるを務む。是を以て国安くして君寧(やす)し。礼答えざる無しとは、上の虚しく下に取らざるを言うなり。上必ず正道を明らかにして以て民を道(みちび)き、民これに道(したが)いて功有り、然る後に其の什一を取る。故に上用足りて下匱(とぼ)しからざるなり。是を以て上下和親して相怨まざるなり。和寧は、礼の用なり。此れ君臣上下の大義なり。故に曰く、「燕礼なる者は、君臣の義を明らかにする所以なり」と。
現代語訳
君主が賓に旅酬(りょしゅう、順に杯を回すこと)の杯を挙げるとき、また君主が杯を賜るときには、臣下は皆堂を降りて再拝し頭を地につけ、再び堂に上って拝礼を完成させる。これは臣下の礼を明らかにするためである。君主がこれに答礼するのは、礼には答えないものはないからで、君上としての礼を明らかにするためである。臣下が力を尽くし能力を出しきって国に功績を立てれば、君主は必ず爵位と俸禄でこれに報いる。だから臣下は皆、力を尽くし能力を出しきって功績を立てることに努める。こうして国は安らかになり、君主も安らかである。礼には答えないものはないとは、上に立つ者がいたずらに下から取り立てることはしないということである。上に立つ者は必ず正しい道を明らかにして民を導き、民がそれに従って成果があがってから、その十分の一を税として取る。だから上の費用は足り、下も乏しくならない。こうして上下が和やかに親しみ、互いに怨まない。和やかさと安らかさこそ礼のはたらきである。これが君臣上下の大いなる道義である。だから「燕礼は君臣の道義を明らかにするためのものである」といわれる。
解説
この章句が説くこと
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礼記・燕義諸侯燕礼の義。君、阼階の東南に立ち、南郷して爾(じ)し、卿・大夫皆少しく進むは、位を定むるなり。君、阼階の上に席するは、主位に居るなり。君独り升りて席上に立ち、西面して特立するは、敢えてこれに適(てき)する莫きの義なり。 賓主を設くるは、飲酒の礼なり。宰夫をして献主と為さしむるは、臣敢えて君と礼を亢(こう)する莫ければなり。公卿を以て賓と為さずして、大夫を以て賓と為すは、疑わしきが為なり。嫌を明らかにするの義なり。賓、中庭に入れば、君、一等を降りてこれに揖するは、これを礼するなり。
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礼記・燕義席は、小卿は上卿に次ぎ、大夫は小卿に次ぎ、士・庶子は次を以て位に下に就く。君に献じ、君、旅を挙げ酬を行いて而る后(のち)に卿に献ず。卿、旅を挙げ酬を行いて而る后に大夫に献ず。大夫、旅を挙げ酬を行いて而る后に士に献ず。士、旅を挙げ酬を行いて而る後に庶子に献ず。俎豆・牲体・薦羞、皆等差有るは、貴賤を明らかにする所以なり。
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礼記・表記子これを言う、君子の所謂義なる者は、貴賤皆天下に事有り。天子親ら耕し、粢盛(しせい)秬鬯(きょちょう)以て上帝に事う。故に諸侯勤めて以て天子に輔事す。 子曰く、下の上に事うるや、民を庇(おお)うの大徳有りと雖も、敢えて民に君たるの心有らざるは、仁の厚きなり。是の故に君子は恭倹以て仁に役(つと)めんことを求め、信譲以て礼に役めんことを求む。自ら其の事を尚ばず、自ら其の身を尊ばず、位に倹にして欲を寡くし、賢に譲り、己を卑くして人を尊び、心を小にして義を畏れ、求めて以て君に事う。これを得るも自ら是とし、得ざるも自ら是とし、以て天命を聴く。《詩》に云う、「莫莫(ばくばく)たる葛藟(かつるい)、条枚に施(し)く。凱弟の君子、福を求めて回(たが)わず」と。其れ舜・禹・文王・周公の謂か。民に君たるの大徳有りて、君に事うるの小心有り。《詩》に云う、「惟れ此の文王、小心翼翼たり。昭らかに上帝に事え、聿(ここ)に多福を懐(いた)す。厥の徳回わず、以て方国を受く」と。
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礼記・聘義卿を上擯(じょうひん)と為し、大夫を承擯と為し、士を紹擯と為す。君親ら賓を礼し、賓私面・私覿(してき)し、饔餼(ようき)を致し、圭璋を還し、賄・贈・饗・食・燕するは、賓客君臣の義を明らかにする所以なり。 故に天子諸侯を制して、比年(ひねん)に小聘し、三年に大聘し、相厲(はげ)ますに礼を以てせしむ。使者聘して誤てば、主君親ら饗食せざるなり。これを愧厲(きれい)する所以なり。諸侯相厲ますに礼を以てすれば、則ち外相侵さず、内相陵がず。此れ天子の諸侯を養いて、兵用いずして諸侯自ら正を為すの具なり。
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礼記・表記子これを言う、君に事うるには先ず其の言を資(はか)り、拝して自ら其の身を献じ、以て其の信を成す。是の故に君其の臣に責むる有り、臣其の言に死する有り。故に禄を受くること誣(し)いず、其の罪を受くること益々寡し。 子曰く、君に事うるに大言入れば則ち大利を望み、小言入れば則ち小利を望む。故に君子は小言を以て大禄を受けず、大言を以て小禄を受けず。《易》に曰く、「家食せずして吉」と。
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礼記・少儀尊長の己に於いて等を逾(こ)ゆれば、敢えて其の年を問わず。燕見には命を将(おこな)わず。道に遇えば、見らるれば則ち面し、之(ゆ)く所を請わず。喪には事を俟ちて特(ひと)り弔せず。侍坐して使われざれば、琴瑟を執らず、地に画かず、手に容無く、翣(そう)せざるなり。寝ぬれば則ち坐して命を将う。射に侍すれば則ち矢を約し、投に侍すれば則ち矢を擁す。勝てば則ち洗いて以て請う。客も亦之の如くす。角せず、馬を擢(ぬ)かず。君の乗車を執れば則ち坐す。僕者は右に剣を帯び、良綏(りょうすい)を負い、之を面に申(の)べ、諸(これ)を幦(べき)に拖(ひ)き、散綏を以て升り、轡を執りて然る後に歩む。見えんことを請いて退かんことを請わず。朝廷には退と曰い、燕遊には帰と曰い、師役には罷と曰う。君子に侍坐するに、君子欠伸し、笏を運(めぐ)らし、剣首を沢(な)で、屨を還(めぐ)らし、日の蚤莫(そうぼ)を問えば、退かんことを請うと雖も可なり。君に事うる者は量りて而る後に入り、入りて而る後に量らず。凡そ人に乞仮し、人の為に事に従う者も亦然り。然り、故に上は怨み無く、下は罪に遠ざかるなり。密を窺わず、旁狎(ぼうこう)せず、旧故を道(い)わず、色を戯れず。人の臣下たる者は、諫むる有りて訕(そし)ること無く、亡(さ)ること有りて疾(にく)むこと無く、頌して諂うこと無く、諫めて驕ること無し。怠れば則ち張りて之を相(たす)け、廃すれば則ち掃いて之を更(あらた)む。之を社稷の役と謂う。
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