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礼記 / 雑記下

升正柩,諸侯執綍五百人,四綍,皆銜枚,司馬執鐸,左八人,右八人,匠人執羽葆御柩。大夫之喪,其升正柩也,執引者三百人,執鐸者左右各四人,御柩以茅。 孔子曰:「管仲鏤簋而朱紘,旅樹而反坫,山節而藻梲。賢大夫也,而難為上也。晏平仲祀其先人。豚肩不掩豆。賢大夫也,而難為下也。君子上不僭上,下不偪下。」

書き下し

柩を升(のぼ)せて正すに、諸侯は綍(ふつ)を執る者五百人、四綍、皆枚を銜(ふく)み、司馬鐸を執る、左に八人、右に八人、匠人羽葆(うほう)を執りて柩を御す。大夫の喪、その柩を升せて正すや、引を執る者三百人、鐸を執る者左右各々四人、柩を御するに茅を以てす。 孔子曰く、「管仲は簋(き)に鏤(ほ)りて朱紘(しゅこう)し、旅樹(りょじゅ)して反坫(はんてん)し、山節にして藻梲(そうせつ)す。賢大夫なり、而れども上為り難きなり。晏平仲はその先人を祀るに、豚肩豆を掩わず。賢大夫なり、而れども下為り難きなり。君子は上、上を僭(せん)せず、下、下を偪(せま)らず」と。

現代語訳

埋葬に先立ち柩を祖廟に上げて正しく安置するとき、諸侯の場合は柩の綱を引く者が五百人で、綱は四本、引く者はみな声を立てないよう枚(ばい、口にくわえる木片)をくわえ、司馬が鐸(たく、大きな鈴)を持って左に八人、右に八人並び、匠人(しょうじん、工匠の長)が羽葆(うほう、鳥の羽で飾った旗)を持って柩を先導する。大夫の喪で柩を上げて正しく安置するときは、綱を引く者が三百人、鐸を持つ者が左右に四人ずつで、柩を先導するのに茅を用いる。 孔子はいった。「管仲(斉の宰相)は、黍稷を盛る簋に彫刻を施し、冠の紐を朱にし、門の内に目隠しの屏を立て、杯を返し置く台を設け、柱の斗栱(ときょう)に山を彫り、梁の上の短い柱に藻を描いた。賢い大夫ではあるが、上の者にとっては仕えにくい。晏平仲(斉の宰相、晏嬰)は、先祖を祀るとき、供える豚の肩肉が小さくて豆(たかつき)を覆いきれないほどであった。賢い大夫ではあるが、下の者にとってはやりにくい。君子は、上に向かっては上の者の礼を侵さず、下に向かっては下の者の礼を圧迫しない」。

解説

前半は柩を祖廟に上げる際の人数と先導の規定で、諸侯と大夫とで綱を引く人数や鐸を持つ者の数が定められる。後半の孔子の言葉がこの段の中心である。管仲は大夫の身でありながら天子や諸侯の器物や建物の飾りを用いた。一方、晏平仲は先祖の祭に小さな豚の肩しか供えないほど倹約した。鄭玄は、前者は天子・諸侯を僭し、後者は士・庶人に迫ると注している。二人とも賢大夫と認められながら、一方は上に仕えにくく、もう一方は下の者がやりにくい。「上、上を僭せず、下、下を偪らず」とは、贅沢も倹約も自分の立場にふさわしい程度にとどめよということである。上司が休みを取らなければ部下も休みにくいという今の職場の悩みにも、そのまま当てはまる。

この章句が説くこと

礼記雑記管仲晏子分限

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