礼記 / 学記
凡學之道,嚴師為難。師嚴然後道尊,道尊然後民知敬學。是故君之所不臣於其臣者二:當其為尸則弗臣也,當其為師則弗臣也。大學之禮,雖詔於天子,無北面;所以尊師也。
新字:凡学之道,厳師為難。師厳然後道尊,道尊然後民知敬学。是故君之所不臣於其臣者二:当其為尸則弗臣也,当其為師則弗臣也。大学之礼,雖詔於天子,無北面;所以尊師也。
書き下し
凡そ学の道は、師を厳(とうと)ぶを難しと為す。師厳くして然る後に道尊く、道尊くして然る後に民学を敬することを知る。是の故に君の其の臣を臣とせざる所の者二つ。其の尸(し)と為るに当たりては則ち臣とせず、其の師と為るに当たりては則ち臣とせざるなり。大学の礼は、天子に詔(つ)ぐと雖も北面すること無し。師を尊ぶ所以なり。
現代語訳
およそ学問の道において、師を尊ぶことこそ最も難しい。師が尊ばれてはじめて道が重んじられ、道が重んじられてはじめて民は学問を敬うことを知る。それゆえ、君主が自分の臣下を臣下として扱わない場合が二つある。臣下が祭祀で尸(し、祖先の霊の依り代となる役)を務めるときは臣下として扱わず、臣下が君主の師となるときは臣下として扱わない。大学の礼では、師は天子に教えを告げる場合でも、臣下の位置である北向きには立たない。師を尊ぶためである。
解説
師を尊ぶことの重さを、君臣の礼の例外として示した段である。鄭玄は「厳」を尊敬の意と注す。君主は本来すべての臣を臣として扱うが、祭祀で祖先の霊の依り代となる尸を務める者と、自分の師となる者に対してだけは、臣下の礼をとらせない。尊卑の秩序を重んじる礼が、あえて例外を設けてまで守ろうとしたのが、祖先と学問への敬意だったことになる。「北面せず」とは、臣下が君主に向かう北向きの位置に師を立たせないことである。鄭玄はここに、周の武王が即位ののち師尚父(太公望)に古の道を問い、師尚父が「先王の道は北面せず」と言ったので、武王が東面し師尚父が西面して書を説いたという話を引いている。地位が上の者ほど、教えを受ける場面で頭を下げられるかが問われる。上司が部下から学ぶ場面にも、この段の考えは生きている。
この章句が説くこと
礼記学記尊師君臣尸
関連する章句
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