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礼記 / 内則

凡食齊視春時,羹齊視夏時,醬齊視秋時,飲齊視冬時。凡和,春多酸,夏多苦,秋多辛,冬多鹹,調以滑甘。牛宜稌,羊宜黍,豕宜稷,犬宜粱,雁宜麥,魚宜苽。春宜羔豚膳膏薌,夏宜腒鱐膳膏臊,秋宜犢麑膳膏腥,冬宜鮮羽膳膏膻。牛修,鹿脯,田豕脯,麋脯,麇脯,麋、鹿、田豕、麇,皆有軒,雉兔皆有芼。爵,鷃,蜩,范,芝栭,菱,椇,棗,栗,榛,柿,瓜,桃,李,梅,杏,柤,梨,薑,桂。大夫燕食,有膾無脯,有脯無膾。士不貳羹胾,庶人耆老不徒食。膾:春用蔥,秋用芥、豚;春用韭,秋用蓼。脂用蔥,膏用薤,三牲用藙,和用醯,獸用梅。鶉羹、雞羹、鴽,釀之蓼。魴鱮烝,雛燒,雉,薌無蓼。不食雛鱉,狼去腸,狗去腎,貍去正脊,兔去尻,狐去首,豚去腦,魚去乙,鱉去醜。肉曰脫之,魚曰作之,棗曰新之,栗曰撰之,桃曰膽之,柤梨曰攢之。牛夜鳴則庮,羊泠毛而毳、膻,狗赤股而躁、臊,鳥麃色而沙鳴、鬱,豕望視而交睫、腥,馬黑脊而般臂、漏,雛尾不盈握弗食,舒雁翠,鵠鴞胖,舒鳧翠,雞肝,雁腎,鴇奧,鹿胃。肉腥細者為膾,大者為軒;或曰麋鹿魚為菹,麇為辟雞,野豕為軒,兔為宛脾,切蔥若薤,實諸醯以柔之。羹食,自諸侯以下至於庶人無等。大夫無秩膳,大夫七十而有閣,天子之閣。左達五,右達五,公侯伯於房中五,大夫於閣三,士於坫一。

新字:凡食斉視春時,羹斉視夏時,醬斉視秋時,飲斉視冬時。凡和,春多酸,夏多苦,秋多辛,冬多鹹,調以滑甘。牛宜稌,羊宜黍,豕宜稷,犬宜粱,雁宜麦,魚宜苽。春宜羔豚膳膏薌,夏宜腒鱐膳膏臊,秋宜犢麑膳膏腥,冬宜鮮羽膳膏膻。牛修,鹿脯,田豕脯,麋脯,麇脯,麋、鹿、田豕、麇,皆有軒,雉兔皆有芼。爵,鷃,蜩,范,芝栭,菱,椇,棗,栗,榛,柿,瓜,桃,李,梅,杏,柤,梨,薑,桂。大夫燕食,有膾無脯,有脯無膾。士不貳羹胾,庶人耆老不徒食。膾:春用蔥,秋用芥、豚;春用韭,秋用蓼。脂用蔥,膏用薤,三牲用藙,和用醯,獣用梅。鶉羹、鶏羹、鴽,醸之蓼。魴鱮烝,雛焼,雉,薌無蓼。不食雛鱉,狼去腸,狗去腎,貍去正脊,兔去尻,狐去首,豚去脳,魚去乙,鱉去醜。肉曰脱之,魚曰作之,棗曰新之,栗曰撰之,桃曰胆之,柤梨曰攢之。牛夜鳴則庮,羊泠毛而毳、膻,狗赤股而躁、臊,鳥麃色而沙鳴、鬱,豕望視而交睫、腥,馬黒脊而般臂、漏,雛尾不盈握弗食,舒雁翠,鵠鴞胖,舒鳧翠,鶏肝,雁腎,鴇奥,鹿胃。肉腥細者為膾,大者為軒;或曰麋鹿魚為菹,麇為辟鶏,野豕為軒,兔為宛脾,切蔥若薤,実諸醯以柔之。羹食,自諸侯以下至於庶人無等。大夫無秩膳,大夫七十而有閣,天子之閣。左達五,右達五,公侯伯於房中五,大夫於閣三,士於坫一。

書き下し

凡そ食の斉(ざい)は春の時に視(なぞら)え、羹の斉は夏の時に視え、醤の斉は秋の時に視え、飲の斉は冬の時に視う。凡そ和は、春は酸を多くし、夏は苦を多くし、秋は辛を多くし、冬は鹹(かん)を多くし、調うるに滑甘を以てす。牛は稌(と)に宜しく、羊は黍に宜しく、豕は稷に宜しく、犬は粱に宜しく、雁は麦に宜しく、魚は苽(こ)に宜し。春は羔豚(こうとん)に宜しく、膳するに膏薌(こうきょう)を以てす。夏は腒鱐(きょしゅく)に宜しく、膳するに膏臊(こうそう)を以てす。秋は犢麑(とくげい)に宜しく、膳するに膏腥を以てす。冬は鮮羽に宜しく、膳するに膏羶(こうせん)を以てす。牛修・鹿脯・田豕脯・麋脯・麇脯。麋・鹿・田豕・麇は、皆軒(けん)有り。雉・兎は皆芼(ぼう)有り。爵・鷃・蜩(ちょう)・范(はん)・芝栭(しじ)・菱・椇(く)・棗・栗・榛・柿・瓜・桃・李・梅・杏・楂(さ)・梨・姜(きょう)・桂。大夫の燕食には、膾有れば脯無く、脯有れば膾無し。士は羹胾(こうし)を弐(ふたつ)にせず。庶人の耆老は徒食せず。膾は、春には葱を用い、秋には芥を用う。豚は、春には韭(にら)を用い、秋には蓼を用う。脂には葱を用い、膏には薤(らっきょう)を用い、三牲には藙(ぎ)を用い、和には醯(けい)を用い、獣には梅を用う。鶉羹・鶏羹・鴽(じょ)は、これに釀(じょう)するに蓼を以てす。魴鱮(ほうしょ)は烝(む)し、雛は焼き、雉は、薌(きょう)にして蓼無し。雛鼈(すうべつ)を食らわず。狼は腸を去り、狗は腎を去り、狸は正脊(せいせき)を去り、兎は尻を去り、狐は首を去り、豚は脳を去り、魚は乙を去り、鼈は醜を去る。肉にはこれを脱すと曰い、魚にはこれを作(さく)すと曰い、棗にはこれを新たにすと曰い、栗にはこれを撰(えら)ぶと曰い、桃にはこれを膽(たん)すと曰い、柤梨にはこれを攢(さん)すと曰う。牛夜鳴けば則ち庮(ゆう)なり。羊の泠毛(れいもう)にして毳(ぜい)なるは、羶なり。狗の赤股にして躁なるは、臊(そう)なり。鳥の麃色(ひょうしょく)にして沙鳴するは、鬱なり。豕の望視して交睫(こうしょう)するは、腥なり。馬の黒脊にして般臂(はんぴ)なるは、漏(ろう)なり。雛の尾握に盈(み)たざるは食らわず。舒雁(じょがん)の翠(すい)、鵠鴞(こくきょう)の胖(はん)、舒鳧(じょふ)の翠、鶏の肝、雁の腎、鴇(ほう)の奥、鹿の胃。肉の腥(なま)にして細き者を膾と為し、大なる者を軒と為す。或いは曰く、麋・鹿・魚は菹(そ)と為し、麇は辟鶏(へきけい)と為し、野豕は軒と為し、兎は宛脾(えんぴ)と為し、葱若(も)しくは薤を切り、諸(これ)を醯に実たして以てこれを柔らかにす、と。羹食は、諸侯自り以下庶人に至るまで等無し。大夫には秩膳無し。大夫七十にして閣有り。天子の閣は、左に達すること五、右に達すること五。公侯伯は房中に五、大夫は閣に三、士は坫(てん)に一。

現代語訳

およそ飯の温度は春のように温かくし、吸い物の温度は夏のように熱くし、醤の温度は秋のように涼しくし、飲み物の温度は冬のように冷たくする。およそ味つけは、春は酸味を多くし、夏は苦味を多くし、秋は辛味を多くし、冬は塩味を多くし、どの季節も滑らかさと甘みで調える。牛肉には稲の飯が合い、羊肉には黍、豚肉には稷、犬の肉には粱、雁には麦、魚には真菰の実の飯が合う。春には子羊と子豚がよく、牛の脂で調理する。夏には干した鳥肉と干し魚がよく、犬の脂で調理する。秋には子牛と子鹿がよく、鶏の脂で調理する。冬には新鮮な魚と鳥がよく、羊の脂で調理する。牛の打ち延ばした干し肉、鹿の干し肉、猪の干し肉、大鹿の干し肉、のろの干し肉がある。大鹿、鹿、猪、のろは、いずれも大きく切った生肉の軒にもする。雉と兎は、いずれも野菜を添えて吸い物にする。そのほか、雀、ふなしうずら、蝉、蜂の子、きのこ、菱の実、けんぽなし、棗、栗、はしばみ、柿、瓜、桃、李(すもも)、梅、杏、山査子、梨、生姜、肉桂がある。大夫のふだんの食事では、なますがあれば干し肉はなく、干し肉があればなますはない。士は吸い物と切り身の煮物を二種類ずつそろえない。庶民の老人は、おかずのない飯だけの食事をさせない。なますには、春は葱を、秋はからしを添える。豚肉には、春は韭を、秋は蓼を添える。牛や羊の脂には葱を、犬や豚の脂にはらっきょうを用い、三牲の肉には茱萸(ぐみ)の類の藙を用い、味の調和には酢を用い、獣の肉には梅を用いる。鶉の吸い物、鶏の吸い物、鴽(ふなしうずらの類)には、蓼を刻んで混ぜる。魴や鱮(ともに川魚)は蒸し、ひな鳥は焼き、雉は香草を添えて蓼は用いない。ひな鳥とすっぽんの子は食べない。狼は腸を除き、犬は腎臓を除き、狸は背骨を除き、兎は尻を除き、狐は頭を除き、豚は脳を除き、魚は乙(えらの骨)を除き、すっぽんは肛門を除く。肉は筋や膜を取り除くことを「脱す」といい、魚は鱗を取ることを「作す」といい、棗は拭いて新しくすることを「新たにす」といい、栗は虫食いを選り分けることを「撰ぶ」といい、桃は毛を拭き取ることを「膽す」といい、山査子や梨は虫穴を調べることを「攢す」という。牛が夜に鳴くようなら、その肉は臭い。羊の毛が薄く、もつれて固まっているなら、その肉は生臭い。犬の股の内側が赤く、落ち着きがないなら、その肉は脂臭い。鳥の羽が色あせてかすれた声で鳴くなら、その肉は腐った臭いがする。豚が遠くを見るような目つきで、まつげが交わっているなら、その肉には粒状のしこりがある。馬の背が黒く、前脚にまだら模様があるなら、その肉は腐った臭いがする。ひな鳥で尾が手のひらに満たないものは食べない。がちょうの尾の肉、白鳥やふくろうの脇腹の肉、あひるの尾の肉、鶏の肝、雁の腎臓、のがんの脾臓、鹿の胃は、食べない。生肉を細く切ったものをなますとし、大きく切ったものを軒とする。あるいはいう。大鹿、鹿、魚は菹(酢漬け)にし、のろは辟鶏にし、猪は軒にし、兎は宛脾にし、いずれも葱やらっきょうを刻んで、酢に漬け込んで柔らかくする、と。吸い物と飯は、諸侯から庶民に至るまで身分による等差はない。大夫には常に定まった膳の数はない。大夫は七十歳になると食べ物を置く棚を持つ。天子の棚は、左右にそれぞれ五つ並べる。公・侯・伯は房(わきべや)の中に五つ、大夫は棚に三つ、士は坫(土の台)に一つ置く。

解説

内則篇の中でもっとも長い飲食の段で、季節に応じた温度と味つけ、肉と穀物の相性、季節ごとの食材と脂、食べてはならない部位、肉の良し悪しの見分け方まで、ことこまかに記す。飯は春のように温かく、吸い物は夏のように熱く、醤は秋のように涼しく、飲み物は冬のように冷たくするという原則や、春は酸、夏は苦、秋は辛、冬は鹹を多くするという味つけは、五行説と季節の対応を背景にしたもので、周礼の食医の職にもほぼ同じ文がある。身分によって膳の数に差がある一方で、吸い物と飯には諸侯から庶民まで等差がないとし、庶民の老人にもおかずのない食事をさせないと定めるところには、食を通して老いを養うという考えが表れている。季節に合った食事を整えることは、今も家族の健康を守る基本である。

この章句が説くこと

礼記内則飲食季節養老

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