礼記 / 月令
冰益壯,地始坼。鶡旦不鳴,虎始交。 天子居玄堂大廟,乘玄路,駕鐵驪,載玄旂,衣黑衣,服玄玉。食黍與彘,其器閎以奄。 飭死事。命有司曰:「土事毋作,慎毋發蓋,毋發室屋及起大眾,以固而閉。地氣沮泄,是謂發天地之房,諸蟄則死,民必疾疫,又隨以喪。命之曰暢月。」
新字:冰益壮,地始坼。鶡旦不鳴,虎始交。 天子居玄堂大廟,乗玄路,駕鉄驪,載玄旂,衣黒衣,服玄玉。食黍与彘,其器閎以奄。 飭死事。命有司曰:「土事毋作,慎毋発蓋,毋発室屋及起大衆,以固而閉。地気沮泄,是謂発天地之房,諸蟄則死,民必疾疫,又随以喪。命之曰暢月。」
書き下し
冰(こおり)益々壮(さか)んにして、地始めて坼(さ)く。鶡旦(かつたん)鳴かず、虎始めて交わる。 天子は玄堂の大廟に居り、玄路(げんろ)に乗り、鉄驪(てつり)に駕し、玄旂(げんき)を載せ、黒衣を衣(き)、玄玉を服す。黍(きび)と彘(ぶた)とを食らい、其の器は閎(ひろ)くして以て奄(ふか)し。 死事を飭(ととの)う。有司に命じて曰く、「土事は作(おこ)すこと毋(な)かれ、慎みて蓋(おお)いを発(ひら)くこと毋かれ、室屋を発き及び大衆を起こすこと毋かれ、以て固くして閉ざせ。地気沮泄(そせつ)すれば、是れを天地の房を発くと謂い、諸蟄(しょちつ)は則ち死し、民は必ず疾疫あり、又随うに喪を以てす。之に命じて暢月(ちょうげつ)と曰う」と。
現代語訳
(仲冬の月には)氷はいよいよ厚くなり、大地は凍てついて裂けはじめる。鶡旦(かつたん、夜明けを告げて鳴く山鳥)も鳴かなくなり、虎が交尾をはじめる。 天子は玄堂(げんどう、明堂の北の堂)の中央の大廟に居り、黒塗りの車に乗り、鉄のような黒毛の馬に引かせ、黒い旗を立て、黒い衣を着て、黒い玉を帯びる。黍と豚を食べ、用いる器は口が広くて深いものとする。 この月には、戦に臨んでは死をも辞さぬよう軍士を引き締める。役人に命じてこう言う。「土木の工事を起こしてはならない。蓋をしてあるものを慎んで開けてはならない。家屋を開け放ったり、大勢の民を徴発したりしてはならない。すべてを固く閉ざしておけ。地の気が漏れ出せば、それは天地の部屋を開け放つことであり、冬ごもりしている生き物はみな死に、民は必ず疫病にかかり、続いて死者が出るであろう。この月を名づけて暢月(ちょうげつ、万物を内に充実させる月)という。」
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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呂氏春秋・仲冬①仲冬の月。日は斗に在り、昏に東壁中し、旦に軫中す。其の日は壬癸、其の帝は顓頊、其の神は玄冥、其の蟲は介、其の音は羽、律は黃鐘に中たる。其の數は六、其の味は鹹、其の臭は朽。其の祀は井、祭るには腎を先にす。冰益々壯んに、地始めて坼け、鶡鴠鳴かず、虎始めて交わる。天子、玄堂の太廟に居り、玄輅に乘り、鐵驪を駕し、玄旂を載て、黑衣を衣、玄玉を服び、黍と彘とを食らう。其の器は宏にして以て弇なり。有司に命じて曰く、「土事作すこと無く、蓋藏を發すること無く、大衆を起こすこと無く、以て固くして閉ざせ。」蓋藏を發し、大衆を起こさば、地氣且に泄れんとす。是を天地の房を發すと謂う。諸蟄則ち死し、民に疾疫多く、又隨うに喪を以てす。之を命づけて暢月と曰う。
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礼記・月令孟冬に春の令を行えば、則ち凍閉密ならず、地気上泄し、民多く流亡す。夏の令を行えば、則ち国に暴風多く、方(まさ)に冬にして寒からず、蟄虫復た出づ。秋の令を行えば、則ち雪霜時ならず、小兵時に起こり、土地侵削せらる。 仲冬の月、日は斗(と)に在り、昏に東壁中し、旦に軫(しん)中す。其の日は壬癸。其の帝は顓頊、其の神は玄冥。其の虫は介。其の音は羽、律は黄鍾に中る。其の数は六。其の味は鹹、其の臭は朽。其の祀りは行、祭るに腎を先にす。
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礼記・月令天子は玄堂(げんどう)の左個に居り、玄路(げんろ)に乗り、鉄驪(てつり)に駕し、玄旂を載せ、黒衣を衣、玄玉を服ぶ。黍(きび)と彘(ぶた)とを食らう。其の器は閎(ひろ)くして以て奄(ふか)し。 是の月や、以て冬を立つ。立冬に先だつこと三日、太史之を天子に謁げて曰く、「某日立冬なり、盛徳は水に在り」と。天子乃ち斉す。立冬の日、天子親ら三公・九卿・大夫を帥いて以て冬を北郊に迎え、還り反りて、死事を賞し、孤寡を恤(あわ)れむ。
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『淮南子』時則訓仲冬の月、招搖は子を指し、昏に壁中し、旦に軫中す。其の位は北方、其の日は壬癸、其の蟲は介、其の音は羽、律は黃鐘に中たり、其の數は六、其の味は鹹、其の臭は腐、其の祀は井、祭には腎を先にす。冰益々壯んに、地始めて坼け、鳱鴠鳴かず、虎始めて交わる。天子は黑衣を衣、鐵驪に乘り、玄玉を服し、玄旗を建て、黍と彘とを食らい、八風の水を服し、松を爨き火を燧り、北宮の御女は黑色、黑采を衣、磬石を擊ち、其の兵は鎩、其の畜は彘、玄堂の太廟に朝す。有司に命じて曰く、土事作す無く、室居を發き、及び大眾を起こす無かれ、是れを天地の藏を發くと謂う。諸蟄則ち死し、民必ず疾疫し、隨いて以て喪する有らん、と。急ぎ盜賊を捕らえ、淫泆詐偽の人を誅す。命じて骝月と曰う。奄尹に命じ、宮令を申べ、門閭を審らかにし、房室を謹み、必ず重ねて閉ざし、婦事を省かしむ。乃ち大酋に命ず、秫稻は必ず齊しく、麴蘗は必ず時にし、湛竪は必ず潔く、水泉は必ず香しく、陶器は必ず良く、火齊は必ず得、差忒有る無からしむ。天子乃ち有司に命じ、四海大川名澤を祀らしむ。是の月や、農に收藏積聚せざる、牛馬畜獸に放失する者有らば、之を取るも詰らず。山林藪澤、能く疏食を取り、禽獸を田獵する者有らば、野虞之を教導す。其れ相い侵奪する有らば、之を罪して赦さず。是の月や、日短きこと至り、陰陽爭う。君子は齋戒し、處るには必ず掩い、身は靜かならんことを欲し、聲色を去り、嗜欲を禁じ、身體を寧んじ、形性を安んず。是の月や、荔挺出で、芸始めて生じ、丘螾結び、麋角解く。水泉動けば則ち樹木を伐り、竹箭を取り、官の事無き、器の用無き者を罷め、闕庭門閭を涂り、囹圄を築く。天地の閉ずるを助くる所以なり。仲冬に夏令を行えば、則ち其の國乃ち旱し、氛霧冥冥たり、雷乃ち聲を發す。秋令を行えば、則ち其れ時に雨水あり、瓜瓠成らず、國に大兵有り。春令を行えば、則ち蟲螟敗を為し、水泉咸な竭き、民に疾癘多し。十一月は都尉を官とし、其の樹は棗なり。
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礼記・月令天子は玄堂の右個(ゆうこ)に居り、玄路に乗り、鉄驪に駕し、玄旂を載せ、黒衣を衣、玄玉を服し、黍と彘とを食らい、其の器は閎くして以て奄し。 有司に命じて大いに難(だ)し、旁(あまね)く磔(たく)し、土牛を出だし、以て寒気を送らしむ。 征鳥(せいちょう)厲疾(れいしつ)なり。乃ち山川の祀、及び帝の大臣、天の神祗を畢(お)う。
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礼記・月令芸(うん)始めて生じ、荔(れい)挺(ぬき)んで出で、蚯蚓(きゅういん)結び、麋角(びかく)解け、水泉動く。 日短至れば、則ち木を伐り、竹箭(ちくせん)を取る。是の月や、以て官の事無きと器の用無き者とを罷(や)め去るべし。 闕廷(けってい)・門閭を塗り、囹圄(れいご)を築く、此れ以て天地の閉蔵を助くるなり。 仲冬に夏の令を行えば、則ち其の国乃ち旱(ひでり)し、氛霧(ふんむ)冥冥として、雷乃ち声を発す。秋の令を行えば、則ち天時に雨汁(うじゅう)ふり、瓜瓠(かこ)成らず、国に大兵有り。春の令を行えば、則ち蝗虫(こうちゅう)敗を為し、水泉咸(ことごと)く竭(つ)き、民に疥癘(かいれい)多し。
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