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二宮翁夜話 / 続篇

翁曰、内に実ありて外に顕はるゝは、天理自然なり。内に実有て外に顕れざるの理必なし。譬ば日暮に燈火を点ずるを見るべし、附木に火の付や早、障子に火の影は移りて外より家の内に燈火のある事の知らるゝなり。其外深山の花木、泥中の鰌は、自ら知らざる積りにても、人は早くも彼の山に花さきたり、此泥中に鰌の居ると知るなり。思はざるべけんや。

新字:翁曰、内に実ありて外に顕はるゝは、天理自然なり。内に実有て外に顕れざるの理必なし。譬ば日暮に灯火を点ずるを見るべし、附木に火の付や早、障子に火の影は移りて外より家の内に灯火のある事の知らるゝなり。其外深山の花木、泥中の鰌は、自ら知らざる積りにても、人は早くも彼の山に花さきたり、此泥中に鰌の居ると知るなり。思はざるべけんや。

書き下し

翁(おきな)曰(いわ)く、内に実(じつ)ありて外に顕(あらわ)るゝは、天理自然なり。内に実有りて外に顕れざるの理(ことわり)必(かならず)なし。譬(たと)へば日暮(ひぐれ)に燈火(ともしび)を点ずるを見るべし、附木(つけぎ)に火の付くや早(はや)、障子に火の影は移りて外より家の内に燈火のある事の知らるゝなり。其外深山(しんざん)の花木、泥中(でいちゅう)の鰌(どじょう)は、自(みずか)ら知らざる積(つも)りにても、人は早くも彼の山に花さきたり、此泥中に鰌の居ると知るなり。思はざるべけんや。

現代語訳

翁が言われた。内側に充実したもの(実)があれば、それは必ず外に現れる。これが天理自然というものだ。内に実がありながら外に現れないという道理は、決してない。たとえば日暮れに灯りをともすのを見てみるがよい。附木に火がつくやいなや、障子に火影が映り、外からも家の中に灯りがあることが分かる。そればかりか、深山の花木や泥の中のどじょうは、自分では知られていないつもりでも、人はすぐに、あの山に花が咲いた、この泥の中にどじょうがいる、と気づくものだ。どうして人が気づかないことがあろうか。

解説

内に実があれば必ず外に現れる、という尊徳の確信を語った一条です。灯りをともせば障子に影が映り、山に花が咲けば人が気づくように、真の充実は隠そうとしても表に滲み出る、と説きます。これは報徳の「至誠」(まごころ)と「積小為大」(小さな積み重ねが大きな実を結ぶ)に通じます。人目を気にして体裁を飾るのではなく、まず自分の内側を誠実に充たすことが先決だという教えです。現代でも、うわべの評判づくりに走るより、地道に実力と徳を養えば、それは自然と周囲に伝わり信頼となって返ってくることを教えてくれます。

この章句が説くこと

二宮翁夜話報徳至誠積小為大内実天理自然

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