二宮翁夜話 / 続篇
翁曰、真菰を俵に作る、虫喰はざるものなり。木綿を入るゝに用ふべし、塵付かずしてよろし。
書き下し
翁(おきな)曰(いわ)く、真菰(まこも)を俵(たわら)に作る、虫喰(むしくわ)ざるものなり。木綿(もめん)を入るゝに用ふべし、塵(ちり)付かずしてよろし。
現代語訳
翁(二宮尊徳)が言われた。真菰で俵を作ると、虫が食わないものだ。木綿を入れるのに用いるとよい。塵がつかなくて具合がよい。
解説
真菰(水辺に生える草)で作った俵は虫がつかず、木綿の保管に適していて塵もつかない――尊徳が日々の観察から得た、ごく実際的な生活の知恵を記した短い一条です。壮大な思想の合間に、こうした身近な工夫が挟まれるのが『夜話』の魅力でもあります。手近な材料の性質をよく見きわめ、暮らしに役立てる。尊徳の学びが机上の空論ではなく、農村の現場での細やかな観察と実践に根ざしていたことを物語ります。ありふれた草一本にも用途を見出す姿勢は、身の回りの資源を無駄なく活かす報徳の勤労と倹約の精神につながります。小さな工夫の積み重ねが暮らしを豊かにする――現代の私たちにも通じる実学の一端です。
この章句が説くこと
二宮翁夜話報徳実学生活の知恵真菰倹約
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