忍経 / 謝罪敦睦・一步を退く者は常に百步を進む
當官不能自忍,必敗。當官處事,不與人爭利者,常得利多;退一步者,常進百步;取之廉者,得之常過其初;約於今者,必有重報於後。不可不思也。唯不能少自忍者,必敗,實未知利害之分,賢愚之別也。 當官者先以暴怒為戒,事有不可,當詳處之,必無不中。若先暴怒,只能自害,豈能害人?前輩嘗言,凡事只怕待,待者詳處之謂也,蓋詳處之,則思慮自出,人不能中傷。
新字:当官不能自忍,必敗。当官処事,不与人争利者,常得利多;退一歩者,常進百歩;取之廉者,得之常過其初;約於今者,必有重報於後。不可不思也。唯不能少自忍者,必敗,実未知利害之分,賢愚之別也。 当官者先以暴怒為戒,事有不可,当詳処之,必無不中。若先暴怒,只能自害,豈能害人?前輩嘗言,凡事只怕待,待者詳処之謂也,蓋詳処之,則思慮自出,人不能中傷。
書き下し
官に當りて自ら忍ぶ能はざれば、必ず敗る。官に當りて事を處するに、人と利を爭はざる者は、常に利を得ること多し。一步を退く者は、常に百步を進む。之を取ること廉なる者は、之を得ること常に其の初めに過ぐ。今に約なる者は、必ず後に重報有り。思はざるべからざるなり。唯だ少しく自ら忍ぶ能はざる者は、必ず敗る。實に未だ利害の分、賢愚の別を知らざるなり。 官に當る者は先づ暴怒を以て戒めと為す。事に不可なる有らば、當に詳らかに之を處すべし。必ず中らざる無し。若し先づ暴怒すれば、只だ能く自ら害するのみ。豈に能く人を害せんや。前輩嘗て言ふ、凡そ事は只だ待つを怕る、と。待つとは詳らかに之を處するの謂なり。蓋し詳らかに之を處すれば、則ち思慮自ら出で、人も中傷する能はず。
現代語訳
官職にあって自ら忍ぶことができなければ、必ず失敗します。官にあって事を処理するとき、人と利を争わない者は、いつもかえって多くの利を得ます。一歩退く者は、いつも百歩進みます。取ることに清廉な者は、得るものがいつも最初の見込みを上回ります。今つつましくしている者には、必ず後で大きな報いがあります。よく考えなければなりません。少しでも自ら忍ぶことができない者は必ず失敗します。それは本当に、利と害の区別、賢と愚の違いが分かっていないのです。 官職にある者は、まず激しい怒りを戒めとしなさい。事に不都合があれば、よくよく詳しく処理すべきです。そうすれば必ず的を外しません。もし先に激しく怒れば、ただ自分を害するだけで、どうして人を害することができましょう。先輩はかつて「どんな事も、ただ待たれることに弱い(待てば片づく)」と言いました。待つとは、詳しく処理するという意味です。詳しく処理すれば、考えは自然に湧き出てきて、人に足をすくわれることもありません。
解説

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