忍経 / 器量過人
韓魏公器量過人,性渾厚,不為畦畛峭塹。功蓋天下,位冠人臣,不見其喜;任莫大之責,蹈不測之禍,身危於累卵,不見其憂。怡然有常,未嘗為事物遷動,平生無偽飾其語言。其行事,進,立於朝與士大夫語;退,息於室與家人言,一出於誠。人或從公數十年,記公言行,相與反復考究,表裏皆合,無一不相應。
新字:韓魏公器量過人,性渾厚,不為畦畛峭塹。功蓋天下,位冠人臣,不見其喜;任莫大之責,蹈不測之禍,身危於累卵,不見其憂。怡然有常,未嘗為事物遷動,平生無偽飾其語言。其行事,進,立於朝与士大夫語;退,息於室与家人言,一出於誠。人或従公数十年,記公言行,相与反復考究,表裏皆合,無一不相応。
書き下し
韓魏公は器量人に過ぎ、性渾厚にして、畦畛峭塹を為さず。功は天下を蓋ひ、位は人臣に冠たるも、其の喜ぶを見ず。莫大の責に任じ、不測の禍を蹈み、身は累卵よりも危ふきも、其の憂ふるを見ず。怡然として常有り、未だ嘗て事物の為に遷動せられず、平生其の語言を偽飾すること無し。其の事を行ふや、進みては朝に立ちて士大夫と語り、退きては室に息ひて家人と言ふも、一に誠より出づ。人或いは公に從ふこと數十年、公の言行を記し、相與に反復考究するに、表裏皆合ひ、一として相應ぜざるは無し。
現代語訳
韓魏公(北宋の宰相、韓琦)は度量が人並み外れて大きく、性格はおおらかで重厚、人との間に畦の境や切り立った堀のような隔てを作りませんでした。功績は天下を覆い、位は臣下の最高に達しても、喜ぶ様子は見られませんでした。この上なく重い責任を負い、予測のつかない災いに踏み込み、身が積み重ねた卵よりも危うい状況でも、憂える様子は見られませんでした。いつもにこやかで変わらず、物事に心を動かされることがなく、生涯、言葉を飾り偽ることがありませんでした。仕事をするときも、進んでは朝廷に立って士大夫と語り、退いては部屋で休んで家族と話すときも、すべて誠から出ていました。数十年も公に付き従った人がいて、公の言行を書き留め、仲間と繰り返し照らし合わせて調べたところ、表と裏がすべて合い、一つとして食い違うものがありませんでした。
解説

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