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直毘霊 / 言痛き教えも何もなかりしかど

故皇國の古は、さる言痛き敎も何もなかりしかど、

新字:故皇国の古は、さる言痛き教も何もなかりしかど、

書き下し

故、皇国の古は、さる言痛き教えも何もなかりしかど、

現代語訳

だから皇国(日本)の古には、そのような仰々しい教えも何もなかったけれども、(下々まで乱れることなく、天の下は穏やかに治まっていた)

解説

中国が細かな教えを積み重ねるほど乱れていったのに対し、日本の古にはそうした「言痛き教え」、口やかましい教えが何もなかった、と宣長は対比を示す。この句は、次に続く「下が下まで乱るることなく、天の下は穏に治まりて」の前置きであり、教えがなかったのに治まっていたという逆説が、「道あるが故に道てふ言なく」の結論へとつながっていく。「言痛し」は言葉がうるさい、仰々しいという意味の古語で、宣長が儒学の徳目を評するときに好んで使う語である。教えがあることを文明の証とみなす儒者の常識を、宣長は裏返してみせる。規則や教えが少ないのにうまく回っている集団には、何が働いているのだろうか。

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