宋名臣言行録 / 後集巻十三・陳瓘
及将往四明而懷素且来㑹稽卞留少俟公不為止曰子不語怪力亂神以不可訓也斯近怪矣州牧既甚信重士大夫又相謟合下民視之從風而靡使真有道者固不願此不然不識之未為不幸也後二十年懷素敗多引名士或欲因是染公竟以尋求無迹而止非公素論守正則不免於羅織矣
新字:及将往四明而懐素且来会稽卞留少俟公不為止曰子不語怪力乱神以不可訓也斯近怪矣州牧既甚信重士大夫又相謟合下民視之従風而靡使真有道者固不願此不然不識之未為不幸也後二十年懐素敗多引名士或欲因是染公竟以尋求無迹而止非公素論守正則不免於羅織矣
書き下し
四明に往かんとするに及び、而して懷素且に會稽に来たらんとす。卞留めて少しく俟たしむ。公止まるを爲さずして曰く、子は怪力亂神を語らず。以て訓ず可からざるを以てなり。斯れ怪に近し。州牧既に甚だ信重し、士大夫又た相い謟合し、下民之を視て風に從いて靡く。使し真に道有る者ならば、固より此を願わじ。然らずんば、之を識らざるも未だ不幸と爲さざるなり、と。後二十年、懷素敗れ、多く名士を引く。或いは是に因りて公を染めんと欲す。竟に尋求して迹無きを以て止む。公素論守正に非ずんば、則ち羅織を免れざらん。
現代語訳
陳瓘が四明に行こうとしたとき、ちょうど張懐素が会稽に来ることになった。蔡卞は引き止めて、少し待つように言った。陳瓘はとどまらずに言った。「孔子は怪力乱神を語らなかった。教えとすることができないからである。これは怪に近い。州の長官がすでにたいそう信じて重んじ、士大夫もまた迎合し、下々の民はそれを見て風になびくように従っている。もしまことに道を得た人であれば、もとよりこのような扱いを願わないだろう。そうでないのなら、知らずにいたところで不幸とするには当たらない」。二十年後、張懐素は捕らえられ、多くの名士を巻き添えに引き込んだ。そこに乗じて陳瓘を巻き込もうとする者もいた。だが結局、いくら探しても跡が見つからず、沙汰やみになった。陳瓘が日ごろの議論において正しさを守っていなかったら、でっち上げを免れなかっただろう。
解説
この章句が説くこと
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『宋名臣言行録』後集巻十三・陳瓘公越州の僉判爲り。蔡卞帥爲り、公を待つこと甚だ厚し。初め卞嘗て公の爲に張懷素の道術神に通ずるを語る。飛禽走獸と雖も能く之を呼び遣る、と。至りては言う、孔子少正卯を誅せしとき、彼嘗て諫めて以て太だ早しと爲す、と。漢楚成臯に相い持せしとき、彼屢ミ高きに登りて戰いを觀る、と。其の歲數を知らず、殆ど世間の人に非ざるなり、と。公每に竊かに之を笑う。
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『宋名臣言行録』後集巻十三・陳瓘嘗て別試所の主文と爲る。林自蔡卞に謂いて曰く、聞くならく、陳瓘は盡く史學を取りて經に通ずるの士を黜けんと欲す。意は國是を沮壞して荊公の學を動搖せしめんと欲するなり、と。卞既に怒りを積み、此に因りて公を害し、遂に史學を禁絶せんことを謀る。計畫已に定まる。唯だ公の取る所の士を候ちて、疵を求め説を立てて之を行わんとするのみ。公固より其の此くの如きを預料す。乃ち前の五名に於いて悉く經を談じ、及び純ら王氏の學を用うる者を取る。卞發する無し。然れども五名の下は往往にして皆な博洽稽古の士なり。公嘗て曰く、當時若し矯揉無くんば、則ち勢い必ず相い激し、史學往往にして遂に廢せん。故に時に隨うは時を救う所以なり。必ずしも快を目前に取らざるなり、と。
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『宋名臣言行録』後集巻十三・陳瓘公台州に謫せらる。朝廷遷人石悈を起こして州事を知らしめ、且つ闕に赴きて官に之かしむ。士論訩訩として、咸な以爲えらく、將に公に處分有らんとするなり、と。悈至りて果して揚言して公を怖れしむ。事を視るの次日、即ち兵官を遣わして突として居る所に来たり、行李を搜檢し、公を攝して郡庭に至らしめ、大いに獄具を陳ぬ。蓋し朝旨は尊堯の副本を取索するのみなるに、而して悈此を爲して以て相い迫脅せるのみ。
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『宋名臣言行録』後集巻十四・陳無巳書を辱くし、喻すに章公年德を降屈して禮を以て招かるるを以てす。不佞何を以て此を得んや。豈に侯嘗て之を欺けるか。公卿の士に下らざること尚し。乃ち特に今に見われて、而も其の身に親しむ。幸い孰れか大ならん。愚は以て士に齒するに足らずと雖も、猶お當に侯の後に從い、下風に順いて以て公の名を成すべし。
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『宋名臣言行録』後集巻十三・陳瓘張天覺晚年亦た佛を好み道を重んず。華嚴閣を建て、醮籙の會を作す。黄冠釋子紛紛として之に從う。公其の薦引を被ると雖も、然れども素より相い識らず、書を通ずるに及ばざるなり。是に至りて代書し、之を簡にして曰く、「辟穀は真の道に非ず、空を談ずるは自然を失う。何如ぞ勲業の地、愧づる無きは是れ神仙」と。
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『宋名臣言行録』後集巻十三・陳瓘公其の意を知り、遂に問いて曰く、今日の事、豈に旨を被れるか、と。悈措を失いて應えて曰く、尚書省の劄子有り、と。出だして公に示す。劄子の行う所は、蓋し尊堯集の副本を取りて、以て詆誣の書に係ると爲し、繳申して毀棄するに合すとなすなり。公曰く、然らば則ち朝廷の指揮は尊堯集を取るのみ。瓘を追うて此に至らしめて、復た何を爲さんと欲するか、と。