宋名臣言行録 / 後集巻十二・劉安世
故攻金陵者只宜言其學乖僻用之必亂天下則人主必信若以為以財利結人主如桑洪羊禁人言以固位如李林甫姦邪如盧□大佞如王莾則人主不信矣葢以其人素有德行而天下之人素尊之而人主夷攷之無是事則與夫毁之之言亦不信矣此進言者之大戒
新字:故攻金陵者只宜言其学乖僻用之必乱天下則人主必信若以為以財利結人主如桑洪羊禁人言以固位如李林甫姦邪如盧□大佞如王莾則人主不信矣葢以其人素有徳行而天下之人素尊之而人主夷攷之無是事則与夫毁之之言亦不信矣此進言者之大戒
書き下し
故に金陵を攻むる者は、只だ宜しく其の學の乖僻にして、之を用うれば必ず天下を亂すと言うべし。則ち人主必ず信ぜん。若し以爲えらく、財利を以て人主に結ぶこと桑弘羊の如く、人言を禁じて以て位を固むること李林甫の如く、姦邪なること盧□の如く、大佞なること王莽の如しとせば、則ち人主信ぜざらん。蓋し其の人素より德行有りて、天下の人素より之を尊ぶを以て、人主之を夷考するに是の事無ければ、則ち夫の之を毁るの言と、亦た信ぜられざるなり。此れ言を進むる者の大戒なり。
現代語訳
「だから王安石を攻撃する者は、ただその学問が偏っており、これを用いれば必ず天下を乱す、とだけ言うべきであった。そうすれば天子は必ず信じたであろう。もし、財利によって天子に取り入ること桑弘羊のごとく、人の言論を禁じて地位を固めること李林甫のごとく、よこしまなこと盧□〔一字を欠く〕のごとく、大いなる佞人なること王莽のごとし、などと言えば、天子は信じない。そもそもその人にはもともと徳行があり、天下の人がもとより尊んでいるのだから、天子が落ち着いて調べてみてそのような事実がなければ、そのけなす言葉のほうもまた信じられなくなる。これは進言する者の大きな戒めである」。
解説
批判のしかたを、効き目から論じた一段です。言うべきことは一点だけだ、と限定します。**ただその学問が偏っており、これを用いれば必ず天下を乱す、とだけ言うべきであった。**そこから外れると壊れます。桑弘羊、李林甫、王莽。悪名を並べれば強くなりそうですが、逆でした。**天子が落ち着いて調べてみてそのような事実がなければ、そのけなす言葉のほうもまた信じられなくなる。**一つ嘘が混じれば、正しい指摘まで落ちる。**これは進言する者の大きな戒めである。**
この章句が説くこと
只だ宜しく其の学の乖僻にして之を用うれば必ず天下を乱すと言うべし財利を以て人主に結ぶこと桑弘羊の如く人言を禁じて以て位を固むること李林甫の如し其の人素より徳行有りて天下の人素より之を尊ぶ人主之を夷考するに是の事無ければ則ち夫の之を毁るの言と亦た信ぜられざるなり批判誇張
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