宋名臣言行録 / 後集巻十二・劉安世
公時執䘮不候服闋赴貶所時公在貶所有土豪緣進納以入仕者因持厚貲入京以求見惇犀珠磊落賄及僕□久之不得見其人直以能殺公意逹之惇乃見之不數日薦上殿自選人改秩除本路轉運判官
新字:公時執喪不候服闋赴貶所時公在貶所有土豪縁進納以入仕者因持厚貲入京以求見惇犀珠磊落賄及僕□久之不得見其人直以能殺公意逹之惇乃見之不数日薦上殿自選人改秩除本路転運判官
書き下し
公時に喪を執る。服の闋くるを候たずして貶所に赴く。時に公貶所に在り。土豪の進納に緣りて以て仕に入る者有り。因りて厚貲を持して京に入り、以て惇に見えんことを求む。犀珠磊落、賄は僕□に及ぶ。久しくして見ゆるを得ず。其の人直ちに能く公を殺すを以て意を惇に達す。乃ち之に見ゆ。數日ならずして薦めて殿に上らしめ、選人より秩を改め、本路の轉運判官に除す。
現代語訳
劉安世はこのとき喪に服していた。喪が明けるのを待たずに流刑地へ赴いた。当時、劉安世が流刑地にいたころ、財物を納めて官途に入った土地の有力者がいた。そこで多額の資財を持って都に入り、章惇に会うことを求めた。犀角や真珠がごろごろするほどで、賄賂は僕□〔一字を欠く。従者のことか〕にまで及んだ。それでも長らく会うことができなかった。その男は、そこで単刀直入に、自分なら劉安世を殺せる、という意向を章惇に伝えた。すると章惇は会った。数日もしないうちに推薦して殿上に上らせ、選人の身分から位階を改め、その道(路)の転運判官に任じた。
解説
出世の道が、この段では一行で開きます。金では開きませんでした。**犀角や真珠がごろごろするほどで、賄賂は僕□〔一字を欠く。従者のことか〕にまで及んだ。それでも長らく会うことができなかった。**開いたのは別の一言です。**自分なら劉安世を殺せる、という意向を章惇に伝えた。すると章惇は会った。**そして即座に官が動きます。**数日もしないうちに推薦して殿上に上らせ、選人の身分から位階を改め。**何を差し出せば取り立てられるのかが、その組織の性格を示しています。
この章句が説くこと
公時に喪を執る服の闋くるを候たずして貶所に赴く犀珠磊落賄は僕□に及ぶ久しくして見ゆるを得ず其の人直ちに能く公を殺すを以て意を惇に達す乃ち之に見ゆ数日ならずして薦めて殿に上らしめ選人より秩を改む賄賂出世
関連する章句
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『秘本玉くしげ』下 賄賂の損得すべて世中に此筋盛んなるゆゑに、おのづから国政正しくは行はれがたく、又上に損失ある事おびただしく、下にも損害甚多し。たとへば、金千両入べきところをも、役人へ三百両賄すれば五百両にてすむゆゑに、下にも二百両の得あれども、上には五百両だけの所の損あり。或は五百両にてすむべき事も、賄をせざれば七百両も八百両も入りて、其二百両三百両は脇道へぬけ行やうの事も有て、上にも利なく、下には大損ありて、あまつさへ上を恨み奉ること甚し。されば、国政の大害、下民の大害、此賄に過たるはなし。
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『秘本玉くしげ』下 使う者を罰すこれを止る法は、まづ賄を取者を禁むるのみならず、これをつかふ者をきびしくいましめて、何事によらずいささかにても賄をつかふ者相しるるに於ては、急度曲事に申付べしとの旨をつねづねふれおかれて、もし犯す者あらんには、一人二人きびしく答められなどせば、つかふ者は勿論にて、とる人もおのづからきみわろかるべし。上の制禁ならんには、これをつかはぬを怒ることも得せじ。そもそも賄は、つかふ者にはとがなくして、罪は取者にある事なれ共、取者をのみ制しては止がたければ、つかふ者をいましむるも一つの権道なるべきにや。
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尚書・呂刑獄貨は寶に非ず。
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『論語と算盤』理想と迷信・これは果して絶望かこの関係を押し進めて政治にせよ、法律にせよ、軍事にせよ、あらゆる事柄をこの仁義道徳に一致させなければいけない。一方は仁義道徳に従って正しき商売の道を踏んでも、一方が賄賂を要請するというような片足ではいけない。世の中のことはほとんど車を回すようなもので、お互いに仁義道徳を守って行かなければ、必ずどこかに扞格を生ずるのであるから、一切の事柄をして仁義道徳に合致せしむるよう、相互に努めなければならぬ。この主義を十分に拡大して広く社会に行うならば、賄賂などというような、忌まわしいことは自ずと止むに至るであろう。
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二宮翁夜話・巻之三翁曰く、太古交際の道、互に信義を通ずるに心力を尽し四体(したい)を労(ろう)して交を結びしなり。如何となれば金銀貨幣(かへい)少きが故なり。後世金銀の通用盛んに成りて、交際の上音信贈答(おんしんぞうとう)皆金銀を用ゐるより、通信自在にして便利極れり。是より賄賂(わいろ)と云ふ事起り、礼を行ふといひ信を通ずるといひ、終に賄賂に陥り、是が為に曲直(きょくちょく)明ならず法度(はっと)正からず、信義廃(すた)れて賄賂盛んに行はれ、百事賄賂にあらざれば弁ぜざるに至る。予始めて桜町に至る、彼の地の奸民(かんみん)争ふて我に賄賂す、予塵芥(じんかい)だも受けず。是より善悪邪正判然として、信義貞実(ていじつ)の者初めて顕(あらわ)れたり。尤も恐るべきは此賄賂なり。卿等(けいら)誓(ちか)ひて此物に汚(けが)さるゝ事なかれ。