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宋名臣言行録 / 後集巻十二・劉摯

公奏曰臣有言責采士民之説敷吿於陛下是臣之職也今有司駁奏據令分析是使之較是非争勝負交口相直無乃辱陛下耳目之任哉所謂向背則臣所向者義所背者利所向者君父所背者權臣願以臣章并司農奏宣示百官考定當否如臣言有取幸早施行若稍涉欺罔甘就竄逐奏入不報

新字:公奏曰臣有言責采士民之説敷吿於陛下是臣之職也今有司駁奏拠令分析是使之較是非争勝負交口相直無乃辱陛下耳目之任哉所謂向背則臣所向者義所背者利所向者君父所背者権臣願以臣章并司農奏宣示百官考定当否如臣言有取幸早施行若稍渉欺罔甘就竄逐奏入不報

書き下し

公奏して曰く、臣に言責有り。士民の説を采りて陛下に敷吿するは、是れ臣の職なり。今有司駁奏し、令に據りて分析す。是れ之をして是非を較べ勝負を爭い、口を交えて相い直しとせしむるなり。無乃ろ陛下の耳目の任を辱しめんか。所謂向背とは、則ち臣の向かう所は義、背く所は利なり。向かう所は君父、背く所は權臣なり。願わくは臣の章を以て司農の奏に并せて百官に宣示し、當否を考定せられんことを。如し臣の言に取る有らば、幸くは早く施行せられよ。若し稍しも欺罔に涉らば、甘んじて竄逐に就かん、と。奏入るも報ぜられず。

現代語訳

劉摯は上奏して言った。「臣には物を言う責めがございます。士や民の言うところを拾って陛下にご報告するのが、臣の職務です。いま担当の役所が反駁を奏上し、命令によって釈明させようとしています。これは臣と役所とに是非を比べ勝ち負けを争わせ、言い合って互いに自分が正しいと主張させることです。それではかえって、陛下の耳目たる職を辱めることになりはしませんか。いわゆる向き背きと申しますなら、臣が向かうのは義であり、背くのは利です。向かうのは君父であり、背くのは権勢を握る臣です。どうか臣の上奏文を司農寺の奏上とあわせて百官に示し、どちらが当たっているかを検討して定めていただきたい。もし臣の言に採るところがあれば、どうか早く施行してください。もし少しでも欺きにわたっておりましたら、甘んじて追放を受けます」。上奏は届いたが、返答はなかった。

解説

釈明を命じられて、まず論争の形そのものを拒みました。**是非を比べ勝ち負けを争わせ、言い合って互いに自分が正しいと主張させることです。**言論の官が役所と勝負をすれば、職そのものが軽くなる、と。そのうえで、突きつけられた語をそのまま裏返します。**臣が向かうのは義であり、背くのは利です。向かうのは君父であり、背くのは権勢を握る臣です。**そして裁き方まで指定しました。**臣の上奏文を司農寺の奏上とあわせて百官に示し。**密室で決めるな、両方並べて見せろ、ということです。

この章句が説くこと

士民の説を采りて陛下に敷吿するは是れ臣の職なり是れ之をして是非を較べ勝負を争い口を交えて相い直しとせしむるなり臣の向かう所は義背く所は利なり向かう所は君父背く所は権臣なり臣の章を以て司農の奏に并せて百官に宣示し当否を考定せられんことを言論義利

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