宋名臣言行録 / 後集巻十一・蘓頌
又嘗言楊告謂吾曰嘗愛韓非一言以謂土木偶人者耳鼻欲大口目欲小此言可以喻大夫土木偶人而鼻先小目先大人或非之則無以為也鼻大則可小目小則可大凡事皆然不厭於三思而熟慮也人皆以非為刻薄此言非忠厚之言哉
書き下し
又嘗て言う、楊告吾に謂いて曰く、嘗て韓非の一言を愛す。以爲えらく、土木の偶人は、耳鼻は大ならんことを欲し、口目は小ならんことを欲す、と。此の言以て大夫に喻す可し。夫れ土木の偶人にして、鼻先ず小に目先ず大なれば、人或いは之を非とするも則ち以て爲す無きなり。鼻大なれば則ち小にす可く、目小なれば則ち大にす可し。凡そ事皆な然り。三思して熟慮するに厭わざるなり。人皆な韓非を以て刻薄と爲す。此の言忠厚の言に非ずや、と。
現代語訳
また、かつてこう言った。「楊告が私にこう言った。私はかねて韓非の一言を愛している。土や木で人形を作るときは、耳と鼻は大きめにしたく、口と目は小さめにしたい、というのだ。この言葉は士大夫に喩えとして示すことができる。そもそも土木の人形で、鼻をはじめから小さく、目をはじめから大きく作ってしまえば、人がそれを悪いと言っても、もう手の打ちようがない。鼻が大きければ小さくできるし、目が小さければ大きくできる。すべての事がこの通りである。だから三度考え、じっくり思案することを面倒がらないのだ。人は皆、韓非を刻薄だとする。この言葉は情の厚い言葉ではないか」。
解説
彫るときの順番の話が、そのまま仕事の順番になっています。取り返しのつく側に寄せておけ、ということです。**鼻をはじめから小さく、目をはじめから大きく作ってしまえば、人がそれを悪いと言っても、もう手の打ちようがない。**削るのは後からできる。足すのはできない。だから最初は控えめに、余地を残して手をつける。**すべての事がこの通りである。**そして最後に、韓非の評価をひっくり返しました。**人は皆、韓非を刻薄だとする。この言葉は情の厚い言葉ではないか。**
この章句が説くこと
土木の偶人は耳鼻は大ならんことを欲し口目は小ならんことを欲す鼻先ず小に目先ず大なれば人或いは之を非とするも則ち以て為す無きなり鼻大なれば則ち小にす可く目小なれば則ち大にす可し凡そ事皆な然り人皆な韓非を以て刻薄と為す此の言忠厚の言に非ずや余地手順
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