宋名臣言行録 / 後集巻一・韓琦
公在相位所進用人惟以公議所在凡薦引於上前未嘗輙漏其語間因上有宣諭或同僚談說人始聞之
新字:公在相位所進用人惟以公議所在凡薦引於上前未嘗輙漏其語間因上有宣諭或同僚談説人始聞之
書き下し
公相位に在り、進め用うる所の人は惟だ公議の在る所を以てす。凡そ上前に薦引するも、未だ嘗て輒ち其の語を漏らさず。間ミ上に宣諭有るに因り、或いは同僚談說して、人始めて之を聞く。
現代語訳
韓琦が宰相の位にあったとき、引き上げて用いる人は、ただ公の議論のあるところによった。天子の前で推薦しても、その言葉を漏らしたことがなかった。ときおり天子からのお言葉があったり、あるいは同僚が話に出したりして、人ははじめてそれを知った。
解説
推薦したことを本人に伝えない。それだけの四十一字です。伝えれば感謝され、味方が増えます。伝えなければ、何もしなかったのと同じに見える。天子の前で推薦しても、その言葉を漏らしたことがなかった。そして知られ方が受け身です。天子からのお言葉があったり、同僚が話に出したりして、人ははじめてそれを知った。先に見た「引き上げられた者が、誰の門下か分からなかった」という一行の、仕組みの側がここにあります。恩を返す先が分からなければ、派閥は育ちません。
この章句が説くこと
進め用うる所の人は惟だ公議の在る所を以てす凡そ上前に薦引するも未だ嘗て輒ち其の語を漏らさず或いは同僚談説して人始めて之を聞く人事公議私恩
関連する章句
-
『甲陽軍鑑』品第十一それをいかるも馬鹿大将なり、かく馬鹿成る大将の下にて、奉公人上中下共に様子を見聞くに、前代よりの家老には能人はあれ共、当時の出頭人に若しや支られやせんとて、よきことを存じ出し候てあれども、物いはず大将たはけ給ふにより、人を見知り給はずして、分別なき不賢どもを召集めて、崇敬有る故、其衆善悪の弁もなく、只手抦成る分別有りて如此仕合能立身すると、證拠もなき誉を思ひ、我身に高慢の意地は二六時中に専なり、惣別小身成者の虚たるは、其伴人戯なり、殊に大名の馬鹿成は其下にて出頭仕る衆戯なり、
-
尉繚子・十二陵悔いは疑わしきを任ずるに在り。
-
『墨子』尚同中今、王公大人の刑政を為すは則ち此を舉ぐ。政、以て便辟を屬し、父兄故舊に宗りて、以て左右と為し、置きて以て正長と為す。民、上の正長を置くの、正しく以て民を治むるに非ざるを知る。是を以て皆な比周隠匿して、肯えて其の上に尚同すること莫し。是の故に上下、義を同じくせず。若し茍くも上下、義を同じくせざれば、賞譽も以て善を勸むるに足らずして、刑罰も以て暴を沮むるに足らず。
-
『春秋左氏伝』襄公三十年 無欲は実に難し誰か敢へて子を犯さん。子善く之を相けよ。國は小なること無し。小にして能く大に事ふれば、國乃ち寬なり」と。子產政を為す。伯石に事有り、賂ひて之に邑を與ふ。子大叔曰く、「國は皆其の國なり。奚ぞ獨り賂ふや」と。子產曰く、「欲無きは實に難し。皆其の欲を得て、以て其の事に從ひ、其の成を要む。我の成すに非ず、其れ人に在らんや。何ぞ邑を愛しまん。邑將た焉くにか往かん」と。子大叔曰く、「四國を若何せん」と。子產曰く、「相違ふに非ずして、相從ふなり。四國何をか尤めん。鄭書に之有りて曰く、『國家を安定するには、必ず大を焉れ先にす』と。姑く先づ大を安んじ、以て其の歸する所を待たん」と。既にして伯石懼れて邑を歸す。卒に之を與ふ。伯有既に死し、大史をして伯石に命じて卿と為さしむ。辭す。大史退けば、則ち命を請ふ。復た之に命ず。又辭す。是くの如きこと三たびにして、乃ち策を受けて入りて拜す。
-
『呻吟語』内篇・談道・人事は就ち是れ天命人事は就ち是れ天命なり。
-
『韓非子』難四第三十九不肖者の主を煬るは、以て明を害するに足らず。今知を加へずして賢者をして己を煬らしむれば、則ち必ず危ふし。或ひと曰く、屈到は芰を嗜み、文王は菖蒲葅を嗜む、正味に非ざるなり、而して二賢之を尚ぶ、味はふ所必ずしも美ならず。晋の霊侯は参無恤を説び、燕噲は子之を賢とす、正士に非ざるなり、而して二君之を尊ぶ、賢とする所必ずしも賢ならざるなり。賢に非ずして賢として之を用ふるは、愛して之を用ふると同じ。賢誠に賢にして之を挙ぐるは、愛する所を用ふると状を異にす。故に楚荘は孫叔を挙げて覇たり、商辛は費仲を用ひて滅ぶ、此れ皆賢とする所を用ひて事相反するなり。燕噲は賢とする所を挙ぐと雖も、而も愛する所を用ふるに同じ、衛奚ぞ距ぞ然らんや。則ち侏儒の未だ見るべからざるなり。君壅がれて其の壅がるるを知らず、已に之を見ての後に其の壅がるるを知る、故に壅臣を退くるは、是れ知を加ふるなり。「知を加へずして賢者をして己を煬らしむれば則ち必ず危ふし」と曰ふも、而るに今以て知を加ふれば、則ち己を煬らしむと雖も、必ず危ふからず。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見る