宋名臣言行録 / 後集巻十一・范純仁
又况差夫必計其的確合用之數縦使所差倍其所役則力愈衆民愈不勞矣今若出錢以免夫雖三分之二亦可以取十分免夫錢其弊無由致察又從来差夫不及五百里外今免夫錢無逺不届若遇掊克之吏則為民之害無甚於此
新字:又況差夫必計其的確合用之数縦使所差倍其所役則力愈衆民愈不労矣今若出銭以免夫雖三分之二亦可以取十分免夫銭其弊無由致察又従来差夫不及五百里外今免夫銭無遠不届若遇掊克之吏則為民之害無甚於此
書き下し
又た况んや夫を差すには必ず其の的確に合用するの數を計る。縦使い差す所其の役する所に倍すとも、則ち力いよいよ衆く民いよいよ勞せず。今若し錢を出して以て夫を免ぜば、三分の二と雖も亦た以て十分の免夫錢を取る可し。其の弊は察を致すに由無し。又た從來夫を差すは五百里の外に及ばず。今免夫錢は遠しとして届かざる無し。若し掊克の吏に遇わば則ち民の害と爲ること此れより甚だしきは無し。
現代語訳
「そのうえ人夫を徴するには、必ずぴったり必要な数を計る。たとえ徴した数が実際に使う数の倍であっても、力はいよいよ多く、民はいよいよ楽になる。いま銭を出して人夫を免れるとなれば、たとえ三分の二の人数分でも、十分の免夫銭を取ることができる。その弊害は調べようがない。そのうえ従来、人夫を徴するのは五百里より外には及ばない。いま免夫銭は、どんなに遠くても届かないところがない。もし取り立ての厳しい役人に当たれば、民にとっての害は、これ以上のものはない」。
解説
実物と銭の違いを、二つ挙げています。まず、水増しできるかどうか。人を余分に集めれば、一人あたりの負担が減って民は楽になります。銭を余分に取れば、そのまま消える。**その弊害は調べようがない。**そしてもう一つが距離でした。**従来、人夫を徴するのは五百里より外には及ばない。いま免夫銭は、どんなに遠くても届かないところがない。**人は遠くから連れて来られませんが、銭には距離の限界がありません。
この章句が説くこと
夫を差すには必ず其の的確に合用するの数を計る今若し銭を出して以て夫を免ぜば三分の二と雖も亦た以て十分の免夫銭を取る可し其の弊は察を致すに由無し又た従来夫を差すは五百里の外に及ばず今免夫銭は遠しとして届かざる無し距離実物
関連する章句
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『宋名臣言行録』後集巻十一・范純仁公曰く、毎歳夫を差すに萬錢と曰うと雖も、然れども身に隨う者は三千に過ぎず。又た一丁の官に就きて食するを得。今夫を免ずる所出の七千は盡く官に歸す。民は又た儼然として家に坐食す。蓋し力とは身の出す所、錢とは民の有する所に非ず。今其の有する所を捨てて其の無き所を征す。民安んぞ病まざるを得ん。此の一事は富民の親ら役を執らざる者は以て便と爲し、窮民の力有りて錢無き者は便とする所に非ざるなり。
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『宋名臣言行録』後集巻十一・范純仁是より先、河北の科する所の夫役は錢を輸して夫を免ずるを許す。上下皆以て便と爲す。公獨り憂えて曰く、民力此れよりいよいよ困しからんと。或るひと曰く、毎歳夫を差すに一丁は萬錢を費やす。今七千を以て一丁を免ず。又た百姓の奔走執役の勞を免ず。豈に便ならずやと。
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『宋名臣言行録』後集巻九・蘇轍雇法を罷行すれば上下二等の忻躍は知る可し。唯だ是れ中等は則ち反って害と爲る。且つ畿縣の中等を以て例せば、役錢を出すこと三貫。若し十年を經れば錢三十貫と爲るのみ。今差法既に行わる。諸縣の手力は最も輕役と爲す。農民の官に在りて日に百錢を使うは最も輕費と爲す。然れども一歳の用は已に三十六貫と爲る。二年役滿つれば費七十餘貫と爲る。役を罷めて歸れば、寛鄉は三年閑なるを得、狹鄉は一歳に及ばず。此を以て之を較ぶれば則ち差役五年の費は雇役十年に倍す。
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『宋名臣言行録』後集巻十・韓絳公三司に在りし時、議して官戸をして量りて免役錢を出さしめ、兼并の家は田頃を計りて役を承け、唯だ鄉役及び弓手を存するの外は並びに蠲除を與え、單丁・女戸の第一等に在る者も亦た量りて役錢を納れしめんと欲す。其の錢は一切免役錢を以て雇召す。此くの如くんば即ち田を限らずして官戸兼并の家は敢えて制を過ぎて以て利を貪らず。中人は以て田を置きて以て生を爲すを得、品官は必ずしも役に充てられずして無業の民は以て募に應ずるを得ん。
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『宋名臣言行録』後集巻九・蘇軾温公免役を改めて差役と爲さんことを議す。差役は祖宗の世に行わる。法久しくして弊多し。編戸の役に充てらるるは官府に習わず。又た虐しく之を使い、多く産を破るを以てす。而して狹鄉の民は或いは休息を得ざる者有り。先帝其の然るを知る。故に免役を爲し、民をして戸の髙下を以て錢を出さしめて役を執るの苦しみ無からしむ。法を行う者上の意に循わず、雇役の實費の外に錢を取ること過多。民遂に以て病めり。若し出を量りて入と爲し、民より多く取る毋くんば則ち足れり。
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『宋名臣言行録』前集巻九・孫甫益州の交子務を監す。蜀、鐡錢を用う。民、轉貿の重きに苦しむ。故に法を設けて紙に書して錢に代え、以て市易に便す。轉運使、偽造して法を犯す者多きを以て、廢して用いざらんと欲す。公曰く、交子は以て偽造す可し。錢も亦た以て私鑄す可し。私鑄に犯有るも、錢、廢す可けんや。但だ嚴に之を治むるのみ。當に小仁を以て大利を廢すべからずと。後、卒に廢する能わず。