宋名臣言行録 / 前集巻九・孫甫
監益州交子務蜀用鐡錢民苦轉貿重故設法書紙代錢以便市易轉運使以偽造犯法者多欲廢不用公曰交子可以偽造錢亦可以私鑄私鑄有犯錢可廢乎但嚴治之不當以小仁廢大利後卒不能廢
新字:監益州交子務蜀用鐡銭民苦転貿重故設法書紙代銭以便市易転運使以偽造犯法者多欲廃不用公曰交子可以偽造銭亦可以私鋳私鋳有犯銭可廃乎但厳治之不当以小仁廃大利後卒不能廃
書き下し
益州の交子務を監す。蜀、鐡錢を用う。民、轉貿の重きに苦しむ。故に法を設けて紙に書して錢に代え、以て市易に便す。轉運使、偽造して法を犯す者多きを以て、廢して用いざらんと欲す。公曰く、交子は以て偽造す可し。錢も亦た以て私鑄す可し。私鑄に犯有るも、錢、廢す可けんや。但だ嚴に之を治むるのみ。當に小仁を以て大利を廢すべからずと。後、卒に廢する能わず。
現代語訳
益州の交子務を監督した。蜀では鉄銭を使っていた。民は持ち運びの重さに苦しんだ。だから法を設けて紙に書いて銭に代え、それで売り買いを便利にした。転運使は、偽造して法を犯す者が多いとして、廃止して使わないようにしようとした。公は言った。「交子は偽造できる。銭もまた私鋳できる。私鋳の犯罪があるからといって、銭を廃止できようか。ただ厳しく取り締まるだけだ。小さな仁によって大きな利を廃止すべきではない」。後にけっきょく廃止できなかった。
解説
世界で最も早い紙幣の一つを、廃止から守った条です。反対の理由は偽造でした。返しが並列で組まれています。交子は偽造できる。銭もまた私鋳できる。私鋳の犯罪があるからといって、銭を廃止できようか。同じ理屈なら、銭も廃止しなければならない。そして締めが基準です。小さな仁によって大きな利を廃止すべきではない。取り締まる話と、やめる話を分けています。
この章句が説くこと
交子は以て偽造す可し銭も亦た以て私鋳す可し私鋳に犯有るも銭廃す可けんや但だ厳に之を治むるのみ当に小仁を以て大利を廃すべからず紙幣不正廃止
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