宋名臣言行録 / 後集巻九・蘇轍
罷行雇法上下二等忻躍可知唯是中等則反為害且以畿縣中等例出役錢三貫若經十年為錢三十貫而已今差法既行諸縣手力最為輕役農民在官日使百錢最為輕費然一嵗之用已為三十六貫二年役滿為費七十餘貫罷役而歸寛鄉得閑三年狹鄉不及一嵗以此較之則差役五年之費倍於雇役十年
新字:罷行雇法上下二等忻躍可知唯是中等則反為害且以畿県中等例出役銭三貫若経十年為銭三十貫而已今差法既行諸県手力最為軽役農民在官日使百銭最為軽費然一歳之用已為三十六貫二年役満為費七十余貫罷役而帰寛鄉得閑三年狭鄉不及一歳以此較之則差役五年之費倍於雇役十年
書き下し
雇法を罷行すれば上下二等の忻躍は知る可し。唯だ是れ中等は則ち反って害と爲る。且つ畿縣の中等を以て例せば、役錢を出すこと三貫。若し十年を經れば錢三十貫と爲るのみ。今差法既に行わる。諸縣の手力は最も輕役と爲す。農民の官に在りて日に百錢を使うは最も輕費と爲す。然れども一歳の用は已に三十六貫と爲る。二年役滿つれば費七十餘貫と爲る。役を罷めて歸れば、寛鄉は三年閑なるを得、狹鄉は一歳に及ばず。此を以て之を較ぶれば則ち差役五年の費は雇役十年に倍す。
現代語訳
「雇役の法を廃止すれば、上下二つの等級が喜び踊るのは分かる。ただ中等だけは、かえって害となる。そのうえ都に近い県の中等の家で例をとれば、役銭を出すのは三貫である。もし十年を経ても、銭は三十貫になるだけだ。いま差役の法が行われている。諸県の手力は最も軽い役とされる。農民が役所にいて一日に百銭を使うのは、最も軽い費えである。それでも一年の入り用はすでに三十六貫になる。二年で役の期間が満ちれば、費えは七十余貫になる。役を終えて帰れば、土地の広い郷では三年休めるが、狭い郷では一年に及ばない。これによって比べれば、差役の五年の費えは、雇役の十年の倍になる」。
解説
議論ではなく、勘定で示した段です。しかも自分に不利な条件で計算しています。**諸県の手力は最も軽い役とされる。農民が役所にいて一日に百銭を使うのは、最も軽い費えである。**いちばん軽い役、いちばん少ない出費で見積もった。それでもこうなります。**一年の入り用はすでに三十六貫になる。****差役の五年の費えは、雇役の十年の倍になる。**しかも、狭い郷では休みが一年に満たないという条件まで入れてあります。
この章句が説くこと
雇法を罷行すれば上下二等の忻躍は知る可し唯だ是れ中等は則ち反って害と為る役銭を出すこと三貫若し十年を経れば銭三十貫と為るのみ然れども一歳の用は已に三十六貫と為る二年役満つれば費七十余貫と為る此を以て之を較ぶれば則ち差役五年の費は雇役十年に倍す計算比較
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