宋名臣言行録 / 後集巻十・韓維
除起居注侍邇英講筵是時英宗方免䘮簡黙不言公上疏曰邇英閤者陛下燕閒之所也侍於側者皆獻納論思之臣陳於前者非聖人之經則厯代之史也御燕閒則可以留漏刻之永對大臣則可以極諮訪之博論經史則可以窮仁義之道成敗之源今禮制終畢臣下傾耳以聽玊音語曰時然後言陛下之言此其時也臣雖不敏請秉筆以俟
新字:除起居注侍邇英講筵是時英宗方免喪簡黙不言公上疏曰邇英閤者陛下燕閒之所也侍於側者皆献納論思之臣陳於前者非聖人之経則厯代之史也御燕閒則可以留漏刻之永対大臣則可以極諮訪之博論経史則可以窮仁義之道成敗之源今礼制終畢臣下傾耳以聴玊音語曰時然後言陛下之言此其時也臣雖不敏請秉筆以俟
書き下し
起居注を除せられ邇英の講筵に侍す。是の時英宗方に喪を免れ、簡默にして言わず。公上疏して曰く、邇英閤は陛下燕閒の所なり。側に侍する者は皆獻納論思の臣なり。前に陳ぶる者は聖人の經に非ざれば則ち歴代の史なり。燕閒に御せば則ち以て漏刻の永きを留む可し。大臣に對せば則ち以て諮訪の博きを極む可し。經史を論ずれば則ち以て仁義の道、成敗の源を窮む可し。今禮制終わり畢わる。臣下耳を傾けて以て玉音を聽く。語に曰く、時にして然る後に言うと。陛下の言、此れ其の時なり。臣不敏なりと雖も、請う筆を秉りて以て俟たん。
現代語訳
起居注に任じられ、邇英閣の講筵に侍った。この時、英宗はちょうど喪が明けたばかりで、口数少なく何も言わなかった。公は上疏して言った。「邇英閣は陛下がくつろがれる場です。おそばに侍る者はみな、意見を差し上げ思いを論ずる臣です。御前に並べられるものは、聖人の経でなければ歴代の史です。くつろぎの場に出られれば、長い時を留めることができます。大臣に向かわれれば、広く諮ることを尽くせます。経と史を論ずれば、仁義の道と成敗の源を究めることができます。いま礼の定めは終わりました。臣下は耳を傾けて玉音を聴いております。『論語』に言います、『時が来てはじめて言う』と。陛下のお言葉は、いまがその時です。臣は不敏ではありますが、どうか筆を執ってお待ちいたします」。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
論語・季氏篇孔子曰く、禄の公室を去ること、五世なり。政の大夫に逮ぶこと、四世なり。故に夫の三桓の子孫、微なり。
-
『宋名臣言行録』前集巻二・王旦公の母弟、傲にして訓う可からず。一日、冬至に遇う。家廟を祠り、百壺を堂前に列ぬ。弟皆な之を擊ち破る。家人惶駭す。公忽ち外より入り、酒の流れて地に滿ち行く可からざるを見る。俱に一言も無く、但だ衣を攝りて步み入る。其の後、弟忽ち感悟して復た善を為す。終に亦た言わず。
-
呂氏春秋・重言①人主の言は、慎まざる可からず。高宗は天子なり。位に即くや諒闇して、三年言わず。卿大夫恐懼して、之を患う。高宗乃ち言いて曰く、「余一人を以て四方を正す。余唯だ言の類からざるを恐るるなり。茲の故に言わず。」古の天子は、其の言を重んずること此くの若し。故に言に遺う者無し。
-
『宋名臣言行録』前集巻二・李沆沆相位に在り、賔客に接するに常に言寡なし。馬亮、沆と同年の生なり。又た其の弟維と善し。維に語りて曰く、外議大兄を以て無口匏と為すと。維、間に乘じて亮の語を達す。沆曰く、吾れ知らざるに非ざるなり。然れども今の朝士、殿に升りて事を言い、封を上りて論奏するを得。了に壅蔽無く、多く有司に下る。皆な之を見るなり。邦國の大事の若きは、北に強虜有り、西に戎遷有り。日旰に條議して以て備禦する所の䇿、詳究せざるに非ず。薦紳の中、李宗諤・趙安仁の如きは皆な時の英秀なり。之と談ずるも猶お吾が意を啟發する能わず。自餘の通籍の子、坐起拜揖すら尚お周章して措を失う。席に即けば必ず自ら功最を論じて以て寵奬を希う。此れ何の䇿有りて之と接語せんや。茍くも意を曲げて妄言せば、即ち世に所謂る籠罩なり。籠罩の事、僕病みて未だ能わず。我が為に馬君に謝せよと。沆嘗て言う、重位に居るも實に萬分に補う無し。唯だ中外の陳ぶる所の利害、一切之を報罷す。此れ少しく以て國に報ゆるのみと。朝廷の防制は纎悉備具す。或いは陳請する所に狥いて一事を施行せば、即ち傷る所多し。陸象先曰く、庸人之を擾すと。正に此の謂いなり。憸人は一時の進を茍くす。豈に民を念わんや。
-
呂氏春秋・首時①聖人の事に於ける、緩なるに似て急に、遲きに似て速かに、以て時を待つ。王季歷困しみて死す。文王之を苦しみ、有た羑里の醜を忘れざれども、時未だ可ならざるなり。武王之に事え、夙夜懈らざりしも、亦た玉門の辱を忘れず。立ちて十二年にして、甲子の事を成せり。時は固に得易からざるなり。太公望は東夷の士なり。一世を定めんと欲すれども其の主無し。文王の賢なるを聞き、故らに渭に釣りして以て之を觀る。
-
『韓非子』初見秦第一然り而して兵甲頓れ、士民病み、蓄積索き、田疇荒れ、囷倉虚しく、四隣の諸侯服せず、霸王の名成らず。此れ異なる故無し、其の謀臣皆な其の忠を尽くさざればなり。