宋名臣言行録 / 後集巻十・韓維
神宗潛邸英宗命韓魏公擇宫僚用王陶韓維等皆名儒厚德之士神宗内朝拜稍急維曰維下拜王當效之一日侍坐近侍以弓様靴進維曰王安用舞靴神宗有愧色亟令毁去
新字:神宗潜邸英宗命韓魏公択宮僚用王陶韓維等皆名儒厚徳之士神宗内朝拝稍急維曰維下拝王当効之一日侍坐近侍以弓様靴進維曰王安用舞靴神宗有愧色亟令毀去
書き下し
神宗の潛邸のとき、英宗韓魏公に命じて宮僚を擇ばしむ。王陶・韓維等を用う。皆名儒厚德の士なり。神宗内朝の拜稍ミ急なり。維曰く、維下りて拜せん。王當に之に效うべしと。一日坐に侍す。近侍弓様の靴を以て進む。維曰く、王安んぞ舞靴を用いんと。神宗愧色有り。亟かに毀ち去らしむ。
現代語訳
神宗がまだ王であったころ、英宗は韓琦に命じて宮中の僚属を選ばせた。王陶・韓維らを用いた。みな名の知れた儒者で徳の厚い士であった。神宗は宮中での拝礼がやや性急であった。韓維は言った。「維が降りて拝礼いたします。王はこれにならわれるのがよろしい」。ある日、そばに侍っていた。近侍が弓なりの形の靴を差し出した。韓維は言った。「王がどうして舞の靴を用いられましょうか」。神宗は恥じた顔色を見せた。すぐさま壊させた。
解説
二つとも、直接は注意していません。拝礼が性急なときは、自分がやってみせました。維が降りて拝礼いたします。王はこれにならわれるのがよろしい。手本を先に置いて、後を任せる。靴のときも、履くなとは言いませんでした。王がどうして舞の靴を用いられましょうか。その品が誰のものかを言っただけです。舞う者の靴を、王が履くことになる。名指しはしていません。
この章句が説くこと
神宗の潜邸のとき英宗韓魏公に命じて宮僚を択ばしむ神宗内朝の拝稍ミ急なり維曰く維下りて拝せん王当に之に効うべし近侍弓様の靴を以て進む維曰く王安んぞ舞靴を用いん補導礼
関連する章句
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『五常訓』巻之四・礼本立てば末は是より出づる理なり。末のみ修りて、本なきは、誠なくして、礼の道たたず。喪の礼は、ことさら真実ならでは行はれざるものなれば、既に礼の本を説きて、又其内より、喪の礼の本をかかげ出して説き給ふ。
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『五常訓』巻之四・礼一朱子曰、礼は即理の節文なり。いふ意は、万の行、道理にかなひて、過不及なく、程よきを云ふ。飲食の一事をいはば、うゑかわく時に飲み食ふは理なり。されども、飲み食ふべき理なりとて、みだりに多く飲み食へば、放逸にして、みだりがはしく、又必病を生ず。飲み食ふべき理にあたりて、過不及なく、よき程なるが、理の節文なり。万の事、是を以て知るべし。
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『五常訓』巻之四・礼一礼記に、子曰、敬ひて礼にあたらざる、これを野と云ふ。敬ふは誠によけれど、礼にかなはざれば、これ野きなり。敬によき程の法あり。過不及ありて、其法にかなはざるは、是礼にあたらざるなり。況やおごりて理にかなはざるは、ことに礼にそむけり。野きより、其害甚し。
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『弁名』禮礼は道の名なり。先王の制作する所の四教・六芸、是れ其の一に居る。所謂経礼三百、威儀三千、是れ其の物なり。六芸は、書・数は庶人の官に在る者、府・史・胥・徒の専ら務むる所と為す。御も亦た士の職とする所なり。射は諸侯に通ずと雖も、其の所謂射は、礼楽を以て之を行ふ、民の射の皮を主とする者の比に非ず。唯だ礼楽のみ乃ち芸の大なる者にして、君子の務むる所なり。而して楽は伶官に掌られ、君子以て徳を養ふのみ。礼に至りては則ち君子此を以て顕業と為す。是を以て孔子少くして礼を知るを以て称せられ、周に之きて礼を老聃に問ひ、杞に之き宋に之き、唯だ礼を之れ求む。子夏の記す所、曾子の問ふ所、七十子皆礼に断断たり。檀弓の諸篇に見ゆ。三代の君子の礼を務むる、以て見るべきのみ。
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『五常訓』巻之四・礼一威儀をつつしみ、衣冠を正しくし、視ること、聴くこと、言ふこと、動くことの四事につきて、各過不及なく、よき程の法あり。又親につかへ、君につかふるに、各さだまれる法あり。兄弟、夫婦に対し、賓客にまじはり、臣下に対し、民をつかひ、先祖鬼神をまつるも法あり。是礼は、皆天理のよき程なる節文にして、人事の定まれる作法なり。仁義皆理なりといへども、とりわき礼を理といへるに子細あり。理とは行ふべきすぢめなり。万事を行ふに、皆定まりたる作法あり。是人の行ふべきすぢめなり。是即礼なり。ここを以て聖人の説き給へる礼の字は、理の字にあたれり。然れども理といはずして礼といへるに、子細あり。理といへば形と事にあらはれたる迹なくして、虚なり。
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『弁名』禮是の礼楽の教は、黙して之を識るに在りと雖も、然れども人の知、至る有り、至らざる有り。故に孔子時有りてか、一隅を挙げて以て其の義を語る。義とは先王の礼を制する所以の義、戴記に載する所皆是れのみ。祇だ人の知、至る有り、至らざる有り。故に七十子の先王を信ずる、孔子の先王を信ずるに及ばず。其の人の七十子を信ずるも、亦た七十子の孔子を信ずるに及ばず。故に其の人に喩さんと欲するの急なる、其の義を論説して已まず。日に以て蔓衍し、以て戦国の時に至りて、義遂に礼を離れて孤行し、復た礼に就きて其の義を言はず。孟子の書を観て見るべきのみ。此れより其の後、古を去ること益〻遠く、義理の説益〻盛んに、囂然として以て天下を乱し、先王・孔子の教、蕩乎として尽く。悲しいかな。

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