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宋名臣言行録 / 後集巻九・蘇軾

介甫舉手兩指示子瞻曰二事皆惠卿啓之安石在外安敢言子瞻曰固也然在朝則言在外則不言事君之常禮耳上所以待公者非常禮公所以事上者豈可以常禮乎介甫厲聲曰安石須說又曰出在安石口入在子瞻耳盖介甫嘗為惠卿發其無使上知私書尚畏惠卿恐子瞻泄其言也

新字:介甫舉手両指示子瞻曰二事皆恵卿啓之安石在外安敢言子瞻曰固也然在朝則言在外則不言事君之常礼耳上所以待公者非常礼公所以事上者豈可以常礼乎介甫厲声曰安石須説又曰出在安石口入在子瞻耳盖介甫嘗為恵卿発其無使上知私書尚畏恵卿恐子瞻泄其言也

書き下し

介甫手を舉げ兩指を子瞻に示して曰く、二事は皆惠卿之を啓く。安石は外に在り。安んぞ敢えて言わんと。子瞻曰く、固よりなり。然れども朝に在れば則ち言い、外に在れば則ち言わざるは君に事うるの常禮のみ。上の公を待つ所以の者は常禮に非ず。公の上に事うる所以の者は豈に常禮を以てす可けんやと。介甫厲聲して曰く、安石は須らく説くべしと。又た曰く、出づるは安石の口に在り、入るは子瞻の耳に在りと。蓋し介甫嘗て惠卿の爲に其の上をして私書を知らしむる無からしめしを發く。猶お惠卿を畏れ、子瞻の其の言を泄らすを恐るるなり。

現代語訳

王安石は手を挙げ、二本の指を蘇軾に示して言った。「この二件はどちらも恵卿が始めたものだ。安石は在野にいる。どうして口を出せようか」。蘇軾は言った。「もっともです。しかし、朝廷にいれば言い、退いていれば言わないというのは、君に仕える上での通り一遍の礼にすぎません。主上が公を遇してこられたやり方は、通り一遍ではありません。公が主上にお仕えするやり方が、どうして通り一遍の礼でよいのでしょうか」。王安石は声を強めて言った。「安石は言わねばならぬ」。そのうえで言った。「出るのは安石の口から、入るのは子瞻の耳へ、だ」。そもそも王安石は、かつて呂恵卿のために、その私信を主上に知らせないようにしていたことを暴いていた。それでもなお呂恵卿を恐れ、蘇軾がその言葉を漏らすのを心配したのである。

解説

退いた者は口を出せない、という当然の言い分に、一段上の理屈で返しています。**朝廷にいれば言い、退いていれば言わないというのは、君に仕える上での通り一遍の礼にすぎません。**そのうえで、この人だけは別だと言いました。**主上が公を遇してこられたやり方は、通り一遍ではありません。**特別に遇された者は、特別に仕える義務がある。相手は折れました。**安石は言わねばならぬ。**そして最後の一言が、この人の置かれた立場を語っています。

この章句が説くこと

二事は皆恵卿之を啓く安石は外に在り安んぞ敢えて言わん朝に在れば則ち言い外に在れば則ち言わざるは君に事うるの常礼のみ上の公を待つ所以の者は常礼に非ず介甫厲声して曰く安石は須らく説くべし退職発言

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