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宋名臣言行録 / 後集巻九・蘇軾

徙知湖州以表謝上言事者摘其語以為謗遣官逮赴御史獄初公既補外見事有不便於民者不敢言亦不敢黙視也縁詩人之義託事以諷庶幾有補於國言者從而媒糵之欲必置之死上憐之以黄州團練副使安置公幅巾芒屨與田父野老相從溪谷之間築室於東坡自號東坡居士

新字:徙知湖州以表謝上言事者摘其語以為謗遣官逮赴御史獄初公既補外見事有不便於民者不敢言亦不敢黙視也縁詩人之義託事以諷庶幾有補於国言者従而媒糵之欲必置之死上憐之以黄州団練副使安置公幅巾芒屨与田父野老相従渓谷之間築室於東坡自号東坡居士

書き下し

湖州を知するに徙る。表を以て上に謝す。事を言う者其の語を摘みて以て謗と爲し、官を遣わして逮えて御史の獄に赴かしむ。初め公既に外に補せられ、事の民に便ならざる者有るを見て敢えて言わず、亦た敢えて默視せざるなり。詩人の義に縁り事に託して以て諷す。庶幾わくは國に補う有らん。言う者從いて之を媒糵し、必ず之を死に置かんと欲す。上之を憐れみ、黄州團練副使を以て安置す。公幅巾芒屨、田父野老と溪谷の間に相い從い、室を東坡に築きて自ら東坡居士と號す。

現代語訳

湖州の知事に移った。表を上げて天子に礼を述べた。事を論じる者がその語句を抜き出して誹謗だとし、官を遣わして捕らえ、御史の獄に赴かせた。もともと公は地方に出されてから、事に民の都合に合わないものがあるのを見て、あえて口にせず、といってあえて黙って見過ごすこともしなかった。詩人の義によって、事に託してそれとなく諷した。国の助けになればと思ってのことである。論じる者はそれを取り上げて言いがかりの種とし、必ず死に至らせようとした。天子はこれを憐れみ、黄州団練副使として身柄を置かせた。公は木綿の頭巾に草履で、田を耕す父や野の老人と谷あいで交わり、東の坡に家を建てて、自ら東坡居士と号した。

解説

言い方の工夫が、そのまま罪状にされた条です。あえて口にせず、といってあえて黙って見過ごすこともしなかった。言うことも黙ることもできないので、詩に託しました。詩人の義によって、事に託してそれとなく諷した。遠回しにしたのは角を立てないためです。ところが遠回しな言葉は、いくらでも読み替えられる。論じる者はそれを取り上げて言いがかりの種とし。そして流された先の地名が、この人の名になりました。

この章句が説くこと

湖州を知するに徙る表を以て上に謝す事を言う者其の語を摘みて以て謗と為し官を遣わして逮えて御史の獄に赴かしむ詩人の義に縁り事に託して以て諷す公幅巾芒屨室を東坡に築きて自ら東坡居士と号す筆禍諷

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