宋名臣言行録 / 後集巻七・司馬光
上曰坐倉糴米何如坐者皆起曰不便上已罷之幸甚上曰未罷也公曰京師有七年之儲而錢常乏若坐倉錢益乏米益陳奈何惠卿曰坐倉得米百萬斛則省東南百萬之漕以其錢供京師何患無錢公曰東南錢荒而粒米狼戾今不糴米而漕錢棄其有餘取其所無農末皆病矣侍講吴申起曰光言至論也
新字:上曰坐倉糴米何如坐者皆起曰不便上已罷之幸甚上曰未罷也公曰京師有七年之儲而銭常乏若坐倉銭益乏米益陳奈何恵卿曰坐倉得米百万斛則省東南百万之漕以其銭供京師何患無銭公曰東南銭荒而粒米狼戻今不糴米而漕銭棄其有余取其所無農末皆病矣侍講吴申起曰光言至論也
書き下し
上曰く、坐倉糴米は何如と。坐する者皆起ちて曰く、不便なり。上已に之を罷めたり。幸甚と。上曰く、未だ罷めざるなりと。公曰く、京師に七年の儲有り。而して錢は常に乏し。若し坐倉せば錢は益ミ乏しく米は益ミ陳ならん。奈何と。惠卿曰く、坐倉して米百萬斛を得れば則ち東南百萬の漕を省く。其の錢を以て京師に供せば何ぞ錢無きを患えんと。公曰く、東南は錢荒にして粒米狼戻たり。今米を糴わずして錢を漕す。其の有餘を棄てて其の無き所を取る。農末皆病まんと。侍講吳申起ちて曰く、光の言は至論なりと。
現代語訳
天子は言った。「坐倉して米を買い上げるのはどうか」。座っていた者はみな立ち上がって言った。「よろしくありません。主上はすでにこれを廃止されました。まことに幸いです」。天子は言った。「まだ廃止していない」。司馬光は言った。「都には七年分の蓄えがあります。それでいて銭は常に乏しい。もし坐倉すれば、銭はいっそう乏しくなり、米はいっそう古くなります。どうなさいますか」。呂恵卿は言った。「坐倉して米百万斛を得れば、東南からの百万の水運を省けます。その銭を都に供すれば、銭がないことを心配する必要がありましょうか」。司馬光は言った。「東南は銭が不足していて、米は有り余っています。いま米を買わずに銭を運ぶ。その余っているものを棄てて、その無いものを取ることになります。農も商もどちらも損ないます」。侍講の呉申が立ち上がって言った。「光の言は行き着いた議論です」。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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孫子・作戦篇国の師に貧しきは遠く輸すればなり。遠く輸すれば百姓貧し。
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『宋名臣言行録』後集巻七・司馬光昔太宗河東を平らげ和糴の法を立つ。時に米は斗十餘錢、草は束八錢。民官と市を爲すを樂しむ。後に物貴くして和糴解けず、遂に河東世世の患いと爲る。臣恐る、異日の青苗は猶お河東の和糴のごとくならんことをと。上曰く、陝西に之を行うこと久し。民以て病と爲さずと。公曰く、臣は陝西の人なり。其の病を見て其の利を見ず。朝廷初め之を許さざるなり。而して有司尚お能く以て民を病ましむ。况んや法を立てて之を許すをやと。
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『宋名臣言行録』後集巻七・司馬光三司使は天下の財を掌る。不才にして黜くるは可なり。兩府をして其の事を侵さしむ可からず。今制置三司條例司を爲すは何ぞや。宰相は道を以て人主を佐く。尚お安んぞ例を用いん。苟くも例を用うれば則ち胥吏足れり。今看詳中書條例司を爲すは何ぞや。惠卿對うる能わず。則ち公を詆りて曰く、光は侍從と爲る。何ぞ言わざる。言いて從われずんば何ぞ去らざるやと。公作ちて答えて曰く、是れ臣の罪なりと。上曰く、相い與に是非を論ずるのみ。何ぞ是に至らんやと。
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『宋名臣言行録』後集巻七・司馬光爭議已まず。王珪進みて曰く、災を救い用を節するは宜しく貴近より始むべしとの光の言は是なり。然れども費やす所は幾ばくも無し。恐らくは國體を傷つけん。安石の言も亦た是なり。惟だ明主の裁擇のみと。上曰く、朕の意は光と同じ。然れども姑く以て不允を以て之に答うと。日錄に又た云う、臣は今日兩府の郊賚を得て能く國を富ますと謂うに非ざるなり。陛下の此を以て裁省の始めと爲さんことを欲するのみ。且つ陛下強いて之を裁省すれば則ち體を失う。今大臣河北の災傷を以て憂え、公國を體して自ら郊賚を省くを求む。其の請に從うは其の美を成す所以なり。何ぞ體を傷つくること之れ有らんと。
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『宋名臣言行録』後集巻七・司馬光講畢わりて坐を戸外に賜う。將に出でんとするに、上令して戸内に徙らしむ。左右皆避け去る。上曰く、朝廷一事を更むる毎に舉朝洶洶たるは何ぞやと。公曰く、青苗の出息は平民之を爲すすら、尚お能く下戸を蠶食して饑寒流離に至らしむ。况んや縣官の法令の威をやと。惠卿曰く、青苗法は願わば則ち之を與え、願わずんば強いざるなりと。公曰く、愚民は債を取るの利を知りて債を還すの害を知らず。獨り縣官の強いざるのみに非ず、富民も亦た強いざるなり。臣聞く、法を凉に作るも其の弊は猶お貪。法を貪に作らば、弊は將に之を如何せんと。
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『宋名臣言行録』後集巻七・司馬光公學士王珪・王安石と同じく對す。公言う、災を救い用を節するは宜しく貴近より始むべし。兩府の賜を辭するを聽す可しと。安石曰く、常衮賜饌を辭す。時議以爲えらく、衮は自ら能わざるを知る。當に位を辭すべく、當に禄を辭すべからずと。且つ國用の不足は當今の急務に非ざるなりと。公曰く、衮の禄を辭するは猶お禄を持して位を固むる者より賢れり。國用の不足は眞に急務なり。安石の言は是に非ずと。