宋名臣言行録 / 後集巻七・司馬光
公與學士王珪王安石同對公言救災節用宜自貴近始可聽兩府辭賜安石曰常衮辭賜饌時議以為衮自知不能當辭位不當辭禄且國用不足非當今之急務也公曰衮辭禄猶賢於持禄固位者國用不足真急務安石言非是
新字:公与学士王珪王安石同対公言救災節用宜自貴近始可聴両府辞賜安石曰常衮辞賜饌時議以為衮自知不能当辞位不当辞禄且国用不足非当今之急務也公曰衮辞禄猶賢於持禄固位者国用不足真急務安石言非是
書き下し
公學士王珪・王安石と同じく對す。公言う、災を救い用を節するは宜しく貴近より始むべし。兩府の賜を辭するを聽す可しと。安石曰く、常衮賜饌を辭す。時議以爲えらく、衮は自ら能わざるを知る。當に位を辭すべく、當に禄を辭すべからずと。且つ國用の不足は當今の急務に非ざるなりと。公曰く、衮の禄を辭するは猶お禄を持して位を固むる者より賢れり。國用の不足は眞に急務なり。安石の言は是に非ずと。
現代語訳
司馬光は学士の王珪・王安石とともに拝謁した。司馬光は言った。「災害を救い費用を節するのは、身分の高い者、天子に近い者から始めるべきです。両府が賜物を辞退するのを許すべきです」。王安石は言った。「常袞は賜わる食事を辞退しました。当時の議論では、常袞は自分が職に堪えないと知っていたのだから、位を辞すべきであって、禄を辞すべきではない、としました。そのうえ国庫の不足は、いま急を要する務めではありません」。司馬光は言った。「常袞が禄を辞したのは、それでもなお、禄を握ったまま地位にしがみつく者よりましです。国庫の不足はまさに急務です。安石の言うところは正しくありません」。
解説
常袞の故事を、二人が逆に使いました。王安石は「辞めるべきは禄でなく位だ」と読みます。もっともな理屈です。司馬光の返しは、比較の相手を変えました。常袞が禄を辞したのは、それでもなお、禄を握ったまま地位にしがみつく者よりましです。理想と比べれば足りない。しかし現にいる大多数と比べれば上等だ、と。そして二つ目の論点を、真っ向から否定します。国庫の不足はまさに急務です。安石の言うところは正しくありません。
この章句が説くこと
災を救い用を節するは宜しく貴近より始むべし当に位を辞すべく当に禄を辞すべからず衮の禄を辞するは猶お禄を持して位を固むる者より賢れり国用の不足は真に急務なり安石の言は是に非ず辞退比較
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