宋名臣言行録 / 後集巻七・司馬光
邇英進讀蕭何曹參事公曰參不變何法得守成之道故孝惠髙后時天下晏然衣食滋殖上曰漢常守蕭何之法不變可乎公曰何獨漢也使三代之君常守禹湯文武之法雖至今存可也武王克商曰乃反商政政由舊然則雖周亦用商政也書曰無作聰明亂舊章漢武帝用張湯言取髙帝法紛更之盗賊半天下元帝改宣帝之政而漢始衰由此言之祖宗之法不可變也
新字:邇英進読蕭何曹参事公曰参不変何法得守成之道故孝恵高后時天下晏然衣食滋殖上曰漢常守蕭何之法不変可乎公曰何独漢也使三代之君常守禹湯文武之法雖至今存可也武王克商曰乃反商政政由旧然則雖周亦用商政也書曰無作聰明乱旧章漢武帝用張湯言取高帝法紛更之盗賊半天下元帝改宣帝之政而漢始衰由此言之祖宗之法不可変也
書き下し
邇英に蕭何・曹參の事を進讀す。公曰く、參は何の法を變ぜずして守成の道を得たり。故に孝惠・髙后の時、天下晏然として衣食滋殖すと。上曰く、漢常に蕭何の法を守りて變ぜざるは可ならんかと。公曰く、何ぞ獨り漢のみならんや。三代の君をして常に禹・湯・文・武の法を守らしめば、今に至りて存すと雖も可なり。武王商に克ちて曰く、乃ち商政に反り、政は舊に由ると。然らば則ち周と雖も亦た商政を用うるなり。書に曰く、聰明を作して舊章を亂す無かれと。漢の武帝は張湯の言を用い、髙帝の法を取りて之を紛更す。盜賊天下に半ばす。元帝は宣帝の政を改めて漢始めて衰う。此に由りて之を言えば、祖宗の法は變ず可からざるなりと。
現代語訳
邇英閣で蕭何と曹参の事を進講した。司馬光は言った。「曹参は蕭何の法を変えずに、守り成すの道を得ました。だから孝恵帝・高后の時、天下は落ち着き、衣食は増えました」。天子は言った。「漢が常に蕭何の法を守って変えないのが、よいというのか」。司馬光は言った。「どうして漢だけでありましょうか。三代の君が常に禹・湯・文王・武王の法を守っていたなら、今に至るまで存続していてもよかったのです。武王は商に勝って言いました、『商の政に立ち返り、政は旧きに従う』と。とすれば周でさえ、商の政を用いたのです。『書』に言います、『自分の聡明さを働かせて旧来の規範を乱すな』と。漢の武帝は張湯の言を用い、高祖の法を取ってこれをかき回しました。盗賊は天下の半ばに及びました。元帝は宣帝の政を改めて、漢ははじめて衰えました。これによって言えば、祖宗の法は変えてはならないのです」。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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尚書・周官古に學びて官に入り、事を議するに制を以てすれば、政乃ち迷わず。
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論語・先進篇顔淵死す。顔路、子の車を請いて以て之が槨を為らんとす。子曰く、「才も不才も、亦た各々其の子と言うなり。鯉や死せるとき、棺有りて槨無し。吾徒行して以て之が槨を為らず。吾大夫の後に従うを以て、徒行す可からざるなり。」
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説苑・建本子路、孔子に問いて曰わく、「請う古の学を釈きて由の意を行わん、可なるか」と。孔子曰わく、「不可なり。昔者東夷諸夏の義を慕い、女有り、其の夫死するや、之が為に内に私かに婿し、身を終うるまで嫁がず、嫁がざれば則ち嫁がざるなり、然れども貞節の義に非ざるなり。蒼梧の弟、妻を娶りて美好なれば、兄と易えんことを請う、忠なれば則ち忠なり、然れども礼に非ざるなり。今子古の学を釈きて子の意を行わんと欲す、庸ぞ子の非を用いて是と為し、是を用いて非と為すを知らんや。其の初めに順わずんば、悔いんと欲すと雖も、難きかな」と。
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『塩鉄論』結和篇文學曰く、秦は南のかた勁き越を禽にし、北のかた強き胡を卻け、中國を竭くして以て四夷を役す。人罷れ極まりて主は恤まず、國內潰えて上は知らず。是を以て一夫倡えて天下和し、兵は陳涉に破られ、地は諸侯に奪わる。何ぞ嗣の利する所あらんや。《詩》に云う、「雍雍として鳴く鳱、旭日始めて旦らかなり」と。徒に前利を得て、後の咎を念わず。故に吳王は齊を伐つの便を知りて、干遂の患いを知らず。秦は進取の利を知りて、鴻門の難を知らず。是れ一を知りて十を知らざるなり。周は小を謹みて大を得、秦は大を欲して小を亡う。語に曰く、「前車覆れば、後車の戒め」と。「殷鑒遠からず、夏后の世に在り」と。
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『塩鉄論』論功篇大夫曰く、魯連に言有り、「秦は權もて其の士を使い、虜もて其の民を使う」と。故に政急にして長からず。高皇帝は命を受けて暴亂を平らぐ。功德巍巍として、惟れ天と大を同じくす。而して文・景は緒を承けて之を潤色す。先帝の不義を征し、無德を攘い、以て仁聖の路を昭らかにし、至德の基を純らかにするに及ぶ。聖王累年仁義の積みなり。今、文學は亡國失政の治を引きて、之を今に況う。其の匈奴を圖り難しと謂うも、宜なるかな。
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『宋名臣言行録』前集巻四・冦凖章聖、嘗て兩府に謂いて、一人を擇びて馬步軍指揮使と為さんと欲す。公方に其の事を議す。吏の文籍を以て進むる者有り。公其の故を問う。曰く、例簿なりと。公曰く、今、朝廷、一牙官を用いんと欲す。尚お例を檢するを須つか。安んぞ我輩を用いんや。國政を壊る者は、正に此に由るのみと。