宋名臣言行録 / 後集巻六・王安石
已而上以惠卿語責京京惶恐曰臣與俠素不相識上方疑之御史知雜張琥遂以俠事劾京京奏俠行未逺乞追還對辨遂詔赴臺推勘遣舒亶追俠及諸太康搜其衣槖得王堯臣所贐銀三十兩御史臺知班楊忠信所贈韓范諸公所言新法不便奏藁兩帙遂逮赴詔獄
新字:已而上以恵卿語責京京惶恐曰臣与俠素不相識上方疑之御史知雑張琥遂以俠事劾京京奏俠行未遠乞追還対弁遂詔赴台推勘遣舒亶追俠及諸太康捜其衣槖得王堯臣所贐銀三十両御史台知班楊忠信所贈韓范諸公所言新法不便奏藁両帙遂逮赴詔獄
書き下し
已にして上惠卿の語を以て京を責む。京惶恐して曰く、臣と俠とは素より相い識らずと。上方に之を疑う。御史知雜張琥、遂に俠の事を以て京を劾す。京奏す、俠行くこと未だ遠からず。追い還して對辨せんことを乞うと。遂に詔して臺に赴きて推勘せしめ、舒亶を遣わして俠を諸太康に追わしめ、其の衣槖を搜す。王堯臣の贐る所の銀三十兩、御史臺知班楊忠信の贈る所の、韓・范諸公の言う所の新法不便の奏藁兩帙を得たり。遂に逮えて詔獄に赴かしむ。
現代語訳
やがて天子は呂恵卿の言葉によって馮京を責めた。馮京は恐れおののいて言った。「臣は鄭俠とは日ごろ面識もありません」。天子はまさにこれを疑った。御史知雑の張琥は、ついに鄭俠の一件によって馮京を弾劾した。馮京は奏上した。「鄭俠はまだ遠くまで行っていません。追いつかせて対決し弁明させていただきたい」。そこで詔して御史台に赴かせて取り調べさせ、舒亶を遣わして鄭俠を太康のあたりで追わせ、その荷物を捜させた。王堯臣が餞別に贈った銀三十両、御史台知班の楊忠信が贈った、韓琦や范鎮ら諸公が述べた新法の不都合についての上奏の草稿二帙が出てきた。そこで逮捕して詔獄に赴かせた。
解説
一人の処分が済んだところから、事件が広がっていく段です。きっかけは、出どころを問われた者の一言でした。そして流刑地へ向かう途中の荷物が捜されます。**その荷物を捜させた。**出てきたのは、餞別の銀と、有力者たちの上奏の写しでした。**韓琦や范鎮ら諸公が述べた新法の不都合についての上奏の草稿二帙。**どちらもそれ自体は罪ではありません。ただ、繋がりの証拠にはなる。**そこで逮捕して詔獄に赴かせた。**
この章句が説くこと
臣と俠とは素より相い識らず御史知雑張琥遂に俠の事を以て京を劾す舒亶を遣わして俠を諸太康に追わしめ其の衣槖を捜す韓范諸公の言う所の新法不便の奏藁両帙を得たり捜索証拠
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『宋名臣言行録』後集巻六・王安石既に行く。上惠卿に問う、鄭俠は小臣なり。禁中の密事及び大臣の奏對の言を何より之を聞けるやと。惠卿對えて曰く、此れ皆馮京の手錄、王安國をして持ちて之に示し、導きて言わしむるのみと。惠卿は京と同列にして議多く矛盾す。又た諂いて荊公に事うるを以て安國の疾む所と爲り、屢ミ其の兄に諷するも悟らず。故に并せて之に中つ。
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『宋名臣言行録』後集巻六・王安石安國對に赴きて承けず。俠之を責めて曰く、凡そ制使に對しては當に隱口有るべからず。言う所の者は安んぞ之を諱むを得んや。天地鬼神は皆左右に在り。學士は誰を欺かんと欲するやと。安國乃ち伏す。獄成る。俠は英州に送られて編管せらる。忠信・無至は真決せられて湖外に編管せらる。京は政を罷め、諷は職を落とされ、安國は田里に放歸せらる。
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『宋名臣言行録』後集巻六・王安石俠對うるに實に京を識らずと。但だ毎に人吳無至を遣わして檢院に詣らしめ匭に投ぜしむ。判院丁諷輒ち無至の爲に京の稱歎の語を道う。局を罷むる時に及び、安國に途に遇う。安國馬上に鞭を舉げて相い揖して曰く、賢は獨立不懼と謂う可しと。因りて隨いて居る所に至り、前後の奏草を觀んことを求む。俠答うるに未だ嘗て存留せずと以てす。
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『宋名臣言行録』後集巻六・王安石忠信なる者は常に詔に應じて新法の不便を言う。因りて俠に謂いて曰く、御史の職は諫爭に在り。皆緘默して言わず。公は一監門のみ。乃ち上書して已まず。是れ言責は監門に在りて臺中に人無きなりと。懷中の書を探りて俠に授けて曰く、此を以て正人の助けと爲せと。京は未だ嘗て安國をして省中の語を傳道せしめず。凡そ論ずる所は乃ち鄰居内殿崇班楊永芳の告ぐる所なり。
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『宋名臣言行録』後集巻六・王安石鄭俠介夫なる者は福州の人なり。公金陵に憂に居る時、嘗て從學す。後に進士に舉げられ、光州司法に調せらる。秩滿ちて京に至る。會ミ公政を秉る。問うに聞く所を以てす。俠因りて具さに青苗・免役・用兵の害を言う。公答えず。又た數ミ書を以て之を論ずるも亦た報ぜられず。
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『宋名臣言行録』後集巻十・韓絳三司使市易官の罪を發く。而して同列之を佑けて責めざらんと欲す。方に賈人の免行錢を創る。孫尚書永議に異なる有り。而して同列永を論じて上を罔きて故らに實あらずと欲す。上書人鄭俠激切にして獄に下る。而して執政馮公京嘗て俠に賙う。同列俠に黨するを以て重坐と爲さんと欲す。公帝前に辨じて直きを得ず、數ミ罷めんことを求む。