宋名臣言行録 / 後集巻六・王安石
神宗聞安石之貧命中使甘師顔賜之金五十兩安石好為詭激矯厲之行即以金施之定林僧舍師顔因不敢受常例回具奏之上諭御藥院牒江寧府於安石家取師顔常例安石約惠卿無令上知一帖惠卿既與公分黨乃以其帖上之上問熙河嵗費之説於王韶安石喻韶不必盡數以對韶既畔安石亦以安石言上之
新字:神宗聞安石之貧命中使甘師顔賜之金五十両安石好為詭激矯厲之行即以金施之定林僧舎師顔因不敢受常例回具奏之上諭御薬院牒江寧府於安石家取師顔常例安石約恵卿無令上知一帖恵卿既与公分党乃以其帖上之上問熙河歳費之説於王韶安石喻韶不必尽数以対韶既畔安石亦以安石言上之
書き下し
神宗安石の貧を聞き、中使甘師顔に命じて之に金五十兩を賜う。安石好んで詭激矯厲の行いを爲し、即ち金を以て之を定林の僧舍に施す。師顔因りて敢えて常例を受けず。囘りて具さに之を奏す。上御藥院に諭して江寧府に牒し、安石の家に於いて師顔の常例を取らしむ。安石惠卿に約して上をして知らしむる無からしむる一帖有り。惠卿既に公と黨を分かち、乃ち其の帖を以て之を上る。上熙河の歳費の説を王韶に問う。安石韶に喩すに必ずしも盡く數を以て對えざれと。韶既に畔き、亦た安石の言を以て之を上る。
現代語訳
神宗は王安石が貧しいと聞き、中使の甘師顔に命じて金五十両を賜った。王安石は好んで人目を引く極端で潔癖な振る舞いをしたので、すぐその金を定林の僧舎に施した。甘師顔はそのため、慣例の礼を受け取ることができなかった。戻ってこまごまと上奏した。天子は御薬院に命じて江寧府に文書を出させ、王安石の家から甘師顔の慣例の礼を出させた。王安石が呂恵卿に約束して、天子に知らせないようにさせた手紙が一通あった。呂恵卿は王安石と党を分かった後、その手紙を差し出した。天子は熙河の年間費用について王韶に問うた。王安石は王韶に、必ずしも全額をもって答えるな、と言い含めていた。王韶も背いた後、やはり王安石の言葉を差し出した。
解説
同じことが二度起きた条です。天子に知らせないよう頼んだ相手が、離れたときにその依頼を証拠として提出しました。**呂恵卿は王安石と党を分かった後、その手紙を差し出した。****王韶も背いた後、やはり王安石の言葉を差し出した。**口裏合わせは、相手が味方であるあいだしか成り立ちません。しかも、頼んだ側は文書を残していました。前半の潔癖な振る舞いと並べて置かれているところに、この条の狙いがあります。
この章句が説くこと
神宗安石の貧を聞き中使甘師顔に命じて之に金五十両を賜う安石好んで詭激矯厲の行いを為す安石恵卿に約して上をして知らしむる無からしむる一帖有り恵卿既に公と党を分かち乃ち其の帖を以て之を上る口裏私信
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