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宋名臣言行録 / 後集巻六・王安石

因為上言陛下欲以先王正道變天下流俗故與天下流俗相為重輕流俗權重則天下之人歸流俗陛下權重則天下之人歸陛下權者與物相為重輕雖千鈞之物所加損不過銖兩而移今姦人欲敗先王之正道以沮陛下之所為於是陛下與流俗之權適爭輕重之時加銖兩之力則用力至㣲而天下之權已歸流俗矣此所以紛紛也上以為然公乃視事

新字:因為上言陛下欲以先王正道変天下流俗故与天下流俗相為重軽流俗権重則天下之人帰流俗陛下権重則天下之人帰陛下権者与物相為重軽雖千鈞之物所加損不過銖両而移今姦人欲敗先王之正道以沮陛下之所為於是陛下与流俗之権適争軽重之時加銖両之力則用力至㣲而天下之権已帰流俗矣此所以紛紛也上以為然公乃視事

書き下し

因りて上の爲に言う、陛下は先王の正道を以て天下の流俗を變ぜんと欲す。故に天下の流俗と相い重輕を爲す。流俗の權重ければ則ち天下の人は流俗に歸し、陛下の權重ければ則ち天下の人は陛下に歸す。權なる者は物と相い重輕を爲す。千鈞の物と雖も、加損する所は銖兩に過ぎずして移る。今姦人は先王の正道を敗りて以て陛下の爲す所を沮まんと欲す。是に於いて陛下と流俗との權は適ま輕重を爭うの時なり。銖兩の力を加うれば、則ち用うる力は至微にして天下の權は已に流俗に歸せん。此れ紛紛たる所以なりと。上以て然りと爲す。公乃ち事を視る。

現代語訳

そこで天子のために言った。「陛下は先王の正しい道によって天下の流俗を変えようとしておられます。だから天下の流俗と、互いに重さを競い合っているのです。流俗の側の重みが勝てば、天下の人は流俗につきます。陛下の側の重みが勝てば、天下の人は陛下につきます。権とは、物と釣り合って重さを競うものです。千鈞の重さの物であっても、加えたり減らしたりするのはわずかな目方で、それで傾きます。いま奸悪な者は、先王の正しい道を破って陛下のなさることを阻もうとしています。ここにおいて陛下と流俗の権は、ちょうど重さを争っている最中です。わずかな目方を加えれば、用いる力はきわめて小さくとも、天下の権はもう流俗に帰してしまいます。これが騒がしい理由です」。天子はもっともだとした。王安石はそこで職務に戻った。

解説

辞意を撤回する場面で、天秤の比喩を出しています。**千鈞の重さの物であっても、加えたり減らしたりするのはわずかな目方で、それで傾きます。**大きな均衡ほど、わずかな一手で決まる。だからいま少しでも譲れば、全部が向こうへ行く、という理屈になります。**わずかな目方を加えれば、用いる力はきわめて小さくとも、天下の権はもう流俗に帰してしまいます。**そして反対そのものが、天秤に載せられた重りとして説明されました。**これが騒がしい理由です。**

この章句が説くこと

陛下は先王の正道を以て天下の流俗を変ぜんと欲す流俗の権重ければ則ち天下の人は流俗に帰す千鈞の物と雖も加損する所は銖両に過ぎずして移る銖両の力を加うれば則ち用うる力は至微にして天下の権は已に流俗に帰せん天秤勢い

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