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宋名臣言行録 / 後集巻六・曾公亮

知鄭州郡多冦攘公至悉竄他境路不拾遺民外戸不閉至號公為曽開門常有使客亡槖中物移文求盗公諭以境内無盗必從者也索之果然

新字:知鄭州郡多寇攘公至悉竄他境路不拾遺民外戸不閉至号公為曽開門常有使客亡槖中物移文求盗公諭以境内無盗必従者也索之果然

書き下し

鄭州を知る。郡に冦攘多し。公至りて悉く他境に竄る。路に遺を拾わず、民は外戸を閉じず。至って公を號して曾開門と爲す。常に使客有りて槖中の物を亡う。文を移して盗を求む。公諭すに、境内に盗無し、必ず從者ならんと以てす。之を索むるに果たして然り。

現代語訳

鄭州の知事となった。郡には盗みや掠めが多かった。曾公亮が着任すると、みな他の境へ逃げ去った。道に落ちているものを拾わず、民は外の戸を閉めなくなった。ついに曾公亮を「曾開門」と呼ぶまでになった。あるとき使いの客があって、袋の中の物をなくした。文書を回して盗人を捜すよう求めた。曾公亮は諭して言った。「管内に盗はいない。きっと連れの者であろう」。捜させると、はたしてそのとおりであった。

解説

渾名が付くまで治安を戻した長官が、盗難の届けにどう答えたかという条です。管内に盗はいない。きっと連れの者であろう。言い切っています。捜索を始める前に、対象を絞ってしまった。管内の把握が確かでなければ言えない言葉です。しかも外れれば面目を失います。捜させると、はたしてそのとおりであった。自分の持ち場について、そこまで言い切れる状態を作ってあった、という話でもあります。

この章句が説くこと

郡に寇攘多し公至りて悉く他境に竄る路に遺を拾わず民は外戸を閉じず至って公を号して曽開門と為す公諭すに境内に盗無し必ず従者ならんと以てす之を索むるに果たして然り治安把握

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