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宋名臣言行録 / 後集巻五・彭思永

公年八九嵗時從尚書出官岳州晨起將就學舍得金釵於門外黙坐其處以伺訪者有一吏徘徊乆之問故果墜釵者也公詰其狀驗之信即出付之吏謝以數百金公笑不受曰我若欲之取釵不過於數百金邪吏歎駭而去

新字:公年八九歳時従尚書出官岳州晨起将就学舎得金釵於門外黙坐其処以伺訪者有一吏徘徊久之問故果墜釵者也公詰其状験之信即出付之吏謝以数百金公笑不受曰我若欲之取釵不過於数百金邪吏嘆駭而去

書き下し

公年八九歳の時、尚書に從いて岳州に出官す。晨に起きて將に學舍に就かんとし、金釵を門外に得たり。黙して其の處に坐して以て訪ぬる者を伺う。一吏有りて徘徊すること之を久しくす。故を問うに、果たして釵を墜とす者なり。公其の狀を詰り、之を驗するに信なり。即ち出だして之に付す。吏謝するに數百金を以てす。公笑いて受けず、曰く、我若し之を欲さば、釵を取るは數百金に過ぎざらんやと。吏歎駭して去る。

現代語訳

彭思永が八、九歳のころ、尚書である父に従って岳州に赴任した。朝起きて学舎に行こうとして、金の簪を門の外で拾った。黙ってその場に座って、探しに来る者を待った。一人の役人がいて、長いあいだうろうろしていた。理由を問うと、はたして簪を落とした者であった。彭思永はその特徴を問いただし、確かめると本当であった。すぐ取り出して渡した。役人は数百金をもって礼をしようとした。彭思永は笑って受けず、言った。「私がもしそれを欲しがるなら、簪そのものを取ってしまえば、数百金以上ではないか」。役人は驚いて感嘆して去った。

解説

八、九歳の子が拾った簪を、その場を離れずに待ちました。黙ってその場に座って、探しに来る者を待った。届け出るより確実で、しかも手間がかかります。そして礼金を断ったときの理屈が、子供のものではない。私がもしそれを欲しがるなら、簪そのものを取ってしまえば、数百金以上ではないか。謙遜ではなく計算で断っている。返した以上、金が目当てでなかったことは、その行為自体が証明しています。

この章句が説くこと

金釵を門外に得たり黙して其の処に坐して以て訪ぬる者を伺う吏謝するに数百金を以てす公笑いて受けず我若し之を欲さば釵を取るは数百金に過ぎざらんや拾得待つ

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