宋名臣言行録 / 後集巻五・趙抃
成都以戍卒為憂朝廷選擇遣大臣為蜀所愛信者皆莫如公遂以大學士知成都然意公必辭及見上曰近嵗無自政府復往者卿能為朕行乎公曰陛下有言即法也顧豈有例哉上大喜
新字:成都以戍卒為憂朝廷選択遣大臣為蜀所愛信者皆莫如公遂以大学士知成都然意公必辞及見上曰近歳無自政府復往者卿能為朕行乎公曰陛下有言即法也顧豈有例哉上大喜
書き下し
成都戍卒を以て憂と爲す。朝廷選擇して大臣の蜀に愛信せらるる者を遣わさんとするに、皆公に如くは莫し。遂に大學士を以て成都を知らしむ。然れども意は公必ず辭せんとす。見ゆるに及びて上曰く、近歳政府より復た往く者無し。卿は能く朕が爲に行かんかと。公曰く、陛下に言有らば即ち法なり。顧うに豈に例有らんやと。上大いに喜ぶ。
現代語訳
成都は守備兵のことを憂いとしていた。朝廷は大臣のうち蜀の人に慕われ信じられている者を選んで遣わそうとしたが、みな趙抃に及ぶ者がなかった。そこで大学士の資格で成都の知事とした。しかし、趙抃はきっと辞退するだろうと思われていた。拝謁すると、天子は言った。「近ごろ、政府から地方へ再び赴く者がない。卿は朕のために行ってくれるか」。趙抃は言った。「陛下にお言葉があれば、それがすなわち法です。そもそも先例など、どうしてありましょうか」。天子は大いに喜んだ。
解説
断られるだろう、と思われていた任命です。天子の頼み方も、先例のなさを認めるところから入りました。**近ごろ、政府から地方へ再び赴く者がない。卿は朕のために行ってくれるか。**辞退する材料は揃っています。中央の参政が地方へ下るのは、格が下がる。趙抃の答えは、その材料ごと消しました。**陛下にお言葉があれば、それがすなわち法です。そもそも先例など、どうしてありましょうか。**先例がないことを、断る理由にしない。
この章句が説くこと
朝廷選択して大臣の蜀に愛信せらるる者を遣わさんとするに皆公に如くは莫し近歳政府より復た往く者無し卿は能く朕が為に行かんか陛下に言有らば即ち法なり顧うに豈に例有らんや前例受諾
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