宋名臣言行録 / 後集巻四・胡宿
詳議官闕判院者當擇人薦於上公與同列得二人一人者監税河北以水災虧課同列議曰虧課小失不足白上以累才公不可至上前悉白之且曰此人小累才足惜仁宗曰果得才小累何䘏遂除詳議官同列退誚公曰詳議欲得人公苦欲白上縁是不得奈何公曰彼得與不得一詳議官耳是固亦有命也宿以誠事主今白首矣不忍絲髮欺君以負平生之節為之開陳聽主上自擇耳同列驚曰某從公久乃不知公所存如此
新字:詳議官闕判院者当択人薦於上公与同列得二人一人者監税河北以水災虧課同列議曰虧課小失不足白上以累才公不可至上前悉白之且曰此人小累才足惜仁宗曰果得才小累何䘏遂除詳議官同列退誚公曰詳議欲得人公苦欲白上縁是不得奈何公曰彼得与不得一詳議官耳是固亦有命也宿以誠事主今白首矣不忍糸髪欺君以負平生之節為之開陳聴主上自択耳同列驚曰某従公久乃不知公所存如此
書き下し
詳議官闕く。院を判ずる者は當に人を擇びて上に薦むべし。公と同列と二人を得たり。一人なる者は河北に税を監し、水災を以て課を虧く。同列議して曰く、課を虧くは小失なり。上に白して以て才を累するに足らずと。公不可とす。上前に至りて悉く之を白す。且つ曰く、此の人は小さき累あり。才は惜しむに足ると。仁宗曰く、果たして才を得ば、小さき累は何ぞ恤えんやと。遂に詳議官を除す。同列退きて公を誚りて曰く、詳議は人を得んと欲す。公は苦だ上に白せんと欲す。是に縁りて得ずんば奈何せんと。公曰く、彼の得ると得ざるとは一詳議官のみ。是れ固より亦た命有るなり。宿は誠を以て主に事う。今白首なり。絲髮も君を欺きて平生の節に負くに忍びず。之が爲に開陳して、主上の自ら擇ぶに聽かしむるのみと。同列驚きて曰く、某公に從うこと久し。乃ち公の存する所の此くの如きを知らざりきと。
現代語訳
詳議官に欠員が出た。院を主管する者が人を選んで天子に推薦すべきであった。胡宿と同僚は二人を挙げた。うち一人は河北で税を監督し、水害によって割り当てを欠いていた。同僚は言った。「割り当てを欠いたのは小さな失点だ。天子に申し上げて、才を損なうには及ばない」。胡宿は承知しなかった。御前に出てことごとくこれを申し上げた。そのうえで言った。「この人には小さな瑕疵がありますが、才は惜しむに足ります」。仁宗は言った。「本当に才を得られるなら、小さな瑕疵など何を心配することがあろうか」。ついに詳議官に任じた。同僚は退がってから胡宿を責めて言った。「詳議には人を得たいのだ。公はしきりに天子に申し上げようとする。そのせいで得られなかったら、どうするつもりだったのか」。胡宿は言った。「あの人が得るか得ないかは、詳議官一つのことにすぎない。それはもとより天命でもある。宿はまことをもって主君にお仕えしてきた。いま白髪頭である。髪の毛一筋ほども主君を欺いて、生涯の節を裏切るには忍びない。だからこそすべて申し述べて、主上ご自身にお選びいただくのだ」。同僚は驚いて言った。「私は公に従うこと久しい。それでいて、公の心持ちがこれほどとは知らなかった」。
解説
この章句が説くこと
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言志四録・言志晩録 第二百八十条 養生の工夫は節の一字養生の工夫は、節の一字に在り。
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『弁名』節儉節は礼義の節なり。礼義は皆限る所有りて踰越すべからざる者あり。是を之れ節と謂ふ。之を節すと云ふ者は、其の限りを守りて敢へて踰えざるなり。大節は、乃ち礼義の大限を謂ふなり。皆道の目なり。「聖は節に達し、次は節を守る」の言有りてより、而して後世遂に節士・節婦の称有りて、以て其の人の徳に命くるのみ。
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易経・彖伝「節(せつ)は亨(とお)る」。剛柔分かれて剛は中を得たり。「苦節(くせつ)は貞(てい)にすべからず」とは、其の道窮(きわ)まればなり。説(よろこ)びて以て險(けん)を行き、位に當(あ)たりて以て節し、中正にして以て通ず。天地節して四時(しじ)成る。節するに制度を以てすれば、財を傷(そこな)わず、民を害せず。
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