宋名臣言行録 / 後集巻二・歐陽修
孟子一部書只是要正人心教人存心養性收其放心至論仁義禮智則以惻隱羞惡辭讓是非之心為之端論邪說之害則曰生於其心害於其政論事君則欲格君心之非正君而國定千變萬化只說從心上來人能正心則事無足為者矣大學之修身齊家治國平天下其本只是正心誠意而已心得其正然後知性之善孟子遇人便道性善
新字:孟子一部書只是要正人心教人存心養性収其放心至論仁義礼智則以惻隠羞悪辞譲是非之心為之端論邪説之害則曰生於其心害於其政論事君則欲格君心之非正君而国定千変万化只説従心上来人能正心則事無足為者矣大学之修身斉家治国平天下其本只是正心誠意而已心得其正然後知性之善孟子遇人便道性善
書き下し
孟子一部の書は、只だ是れ人心を正し、人に心を存し性を養い、其の放心を收めしめんことを要む。仁義禮智を論ずるに至りては、則ち惻隱・羞惡・辭讓・是非の心を以て之が端と爲す。邪說の害を論ずれば則ち曰く、其の心に生じて其の政に害ありと。事君を論ずれば則ち君心の非を格して君を正して國定まらんことを欲す。千變萬化、只だ心上より來たるを説く。人能く心を正さば、則ち事は爲すに足る者無し。大學の身を修め家を齊え國を治め天下を平らかにするは、其の本は只だ是れ心を正し意を誠にするのみ。心其の正を得て、然る後に性の善を知る。孟子は人に遇えば便ち性善を道う。
現代語訳
『孟子』という一冊の書は、ただ人の心を正し、人に心を保たせ性を養わせ、その放たれた心を取り戻させようとするものである。仁義礼智を論ずるに至っては、惻隠・羞悪・辞譲・是非の心をその端緒とする。邪説の害を論ずれば、「その心に生じて、その政に害を及ぼす」と言う。君に仕えることを論ずれば、君主の心の非を正し、君を正して国が定まることを求める。千変万化、ただ心の上から来ることだけを説いている。人が心を正すことができれば、事はことさら為すほどのものがなくなる。『大学』の、身を修め家を斉え国を治め天下を平らかにするというのも、その根本はただ心を正し意を誠にするというだけである。心が正しさを得て、そのうえで性の善を知る。孟子は人に会えば、すぐに性は善だと語った。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『翁問答』上卷之末主君の臣下をさしつかふはたとへば磁石のはりをすふが如し火はかはけるにつき、水はうるおへるにながるゝことわりなれば、磁石のくろがねならではすはざる如く、主君の心とおなじき人ならではつかひ給はぬものなり、心の暗き主君は、何程よきさぶらいをあつめおきてもそれをばもちひず、只君の心にひとしく暗きくせものばかりをさしつかひ給ふものなり、しかるゆへによきさぶらいその家中にありてもなきに同じ、主君の心あきらかなれば、その心によく叶ひたるよき士ならではさしつかひ給はぬゆへにくせものも欲にふけり悪をはぢて、いつとなくよくなるものなればあしきくせもの其家中にありても、なきに等し、臣下のよきもあしきも国のみだるゝもおさまるも、畢竟主君の心ひとつにあり、まことにこゝろざしあるべき事にて候。
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『驢鞍橋』卷中同録に。古人云く。心は万境に随つて転ず。転ずる処実に能く幽なり。流れに随つて性を認得すれば、喜も無く亦憂も無し。一僧云ふ、随流認得性と云ふは、人我を打つとも、腹たつ道理なし。欲心起るも、他の物を取るへき道理なしと、急度其性を認得する義なりや。師云はく、其義に非す。随流認得性と云ふは、ほしければとり、はれははつたまでよ、如是随流働き、万境に転したか、何ん共なき境界也。是れ凡夫心の沙汰に非す、熟した心の沙汰也。今様の誵訛さへ知りめされすと也。
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『弁名』心志意孟子曰く、「其の心を尽くす者は其の性を知るなり」と。是れ其の心力を尽くして以て之を思ふを謂ふのみ。正に梁恵王の所謂「寡人の国に於けるや、心を尽くすのみ」と同意なり。但だ人思はざるのみ、之を思へば則ち能く性の善を知り、性の善を知れば則ち天道の善に与するを知ると言ふ。孟子の本意、是くの若きに過ぎず。宋儒先王の教法を識らず、故に論語・孟子の字面に就きて、以て学問の方を求め、遂に心を尽くすとは心の量を尽くすと謂ふ。妄なるかな。豈に所謂心の量なる者有らんや。仁斎先生曰く、「四端の心を拡充して其の極に至るを謂ふなり」と。果たして其の言の是ならんか、則ち当に其の性を知る者は其の心を尽くすと曰ふべし。其の言の倒置、豈に強ふるに非ずや。亦た聖人為らんと欲するが故のみ。
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言志四録・言志録 第百九十八条 吾が心は即ち天なり此の心霊昭不昧、衆理具はり、万事出づ。果たして何に従りて之を得たるか。吾が生の前、此の心何処にか放在せし。吾が歿の後、此の心何処にか帰宿せん。果たして生歿有りや、無きや。着想此に到れば、凛凛として自ら惕る。吾が心は即ち天なり。
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言志四録・言志録 第九十七条 心の来処は太虚目を挙ぐれば百物、皆来処有り。軀殻の父母より出づるも、亦来処なり。心に至りては則ち来処何くに在る。余曰く、軀殻は是れ地気の精英、父母に由りて之を聚む。心は則ち天なり。軀殻成りて天寓し、天寓して知覚生じ、天離れて知覚泯ぶ。心の来処は、乃ち太虚是れのみ。
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『洗心洞箚記』卷下・第百一條小程子曰く、一人の心は、即ち天地の心なり。一物の理は、即ち万物の理なり。一日の運は、即ち一歳の運なり、と。吾姚江致良知の教を奉ずと雖も、二程子の説を以て徴と為すなり。而して伊川先生の此の語に於て、賜はる所甚だ少なからず。人如し能く心性を了すれば、則ち理と運も亦た心のみ、別物に非ざるなり。先生分別して之を説くは、童蒙の為のみ。

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