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宋名臣言行録 / 後集巻二・歐陽修

公嘗誦王沂公之言曰恩欲歸巳怨使誰當且曰貧賤常思富貴富貴必履危機此古人所以歎也惟不思而得既得而不患失之者其庶幾乎

新字:公嘗誦王沂公之言曰恩欲帰巳怨使誰当且曰貧賤常思富貴富貴必履危機此古人所以嘆也惟不思而得既得而不患失之者其庶幾乎

書き下し

公嘗て王沂公の言を誦して曰く、恩は己に歸せんと欲すれば、怨は誰にか當たらしめんと。且つ曰く、貧賤は常に富貴を思い、富貴は必ず危機を履む。此れ古人の歎ずる所以なり。惟だ思わずして得、既に得て之を失うを患えざる者は、其れ庶幾からんかと。

現代語訳

欧陽脩はかつて王曾の言葉を口ずさんで言った。「恩を自分に帰そうとするなら、怨みは誰に引き受けさせるのか」。そのうえで言った。「貧しく賤しい者は常に富み貴くなることを思い、富み貴い者は必ず危機を踏む。これが古人の嘆いた理由である。ただ、求めずして得て、得た後もそれを失うことを苦にしない者だけが、それに近いと言えようか」。

解説

二つの言葉が並んでいます。ひとつは受け売りでした。恩を自分に帰そうとするなら、怨みは誰に引き受けさせるのか。恩と怨みは、同じ判断から出ます。良いほうだけ自分の名にすれば、悪いほうは誰かに押しつけることになる。もうひとつが自分の言葉です。貧しく賤しい者は常に富み貴くなることを思い、富み貴い者は必ず危機を踏む。どちらに居ても落ち着かない。抜け道は一つだけ挙げられました。求めずして得て、得た後もそれを失うことを苦にしない者。

この章句が説くこと

恩は己に帰せんと欲すれば怨は誰にか当たらしめん貧賤は常に富貴を思い富貴は必ず危機を履む此れ古人の嘆ずる所以なり惟だ思わずして得既に得て之を失うを患えざる者は其れ庶幾からんか恩怨

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