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宋名臣言行録 / 後集巻二・歐陽修

富公之議誅亂兵也公時使河北復被命權知鎮州既力沮其議且曰脩至鎮州必不從命富公不得已遂止是時小人讒言已入而富公大閱河北之兵多所升黜譛者因曰富弼擅命專權自作威福已收却河北軍情於是京師禁軍亟亦大閱多所升擢而富公歸至國門不得入遂罷知鄆州向若遂擅殺二千人命禍何可測也然則公一言不特活二千人命亦免富公於大禍也

新字:富公之議誅乱兵也公時使河北復被命権知鎮州既力沮其議且曰脩至鎮州必不従命富公不得已遂止是時小人讒言已入而富公大閱河北之兵多所升黜譛者因曰富弼擅命専権自作威福已収却河北軍情於是京師禁軍亟亦大閱多所升擢而富公帰至国門不得入遂罷知鄆州向若遂擅殺二千人命禍何可測也然則公一言不特活二千人命亦免富公於大禍也

書き下し

富公の亂兵を誅するを議するや、公時に河北に使いし、復た命を被りて權に鎮州を知す。既に力めて其の議を沮む。且つ曰く、脩鎮州に至らば必ず命に從わじと。富公已むを得ず遂に止む。是の時、小人の讒言已に入る。而して富公河北の兵を大閱し、升黜する所多し。譖する者因りて曰く、富弼は命を擅にし權を專らにし、自ら威福を作す。已に河北の軍情を收却せりと。是に於いて京師の禁軍も亟かに亦た大閱し、擢を升す所多し。而して富公歸りて國門に至るも入るを得ず、遂に罷めて鄆州を知す。向に若し遂に二千人を擅殺せば、命禍は何ぞ測る可けんや。然らば則ち公の一言は、特だ二千人の命を活かすのみならず、亦た富公を大禍より免れしむるなり。

現代語訳

富弼が乱れた兵を誅することを議したとき、欧陽脩はちょうど河北に使いしており、あらためて命を受けて臨時に鎮州の知事を務めていた。その議を力を尽くして阻んだ。そのうえで言った。「脩が鎮州に着けば、必ず命令には従わない」。富弼はやむを得ず、そこで取りやめた。この時、小人の讒言はすでに入っていた。そして富弼が河北の兵を大々的に閲兵し、昇格と降格を多く行った。中傷する者はそれに乗じて言った。「富弼は勝手に命令を出し権を独占し、自ら威と福を作っている。すでに河北の軍の人心を取り込んでしまった」。そこで都の禁軍もにわかに同じく大閲兵を行い、多くを昇格させた。そして富弼は帰って都の門まで来たが、入ることを許されず、ついに免ぜられて鄆州の知事となった。もしあのとき二千人を勝手に殺していたら、災いはどれほどであったか測れない。とすれば、欧陽脩の一言は、ただ二千人の命を生かしただけでなく、富弼をも大きな災いから免れさせたのである。

解説

前の条の裏側です。反対の仕方が具体的でした。**脩が鎮州に着けば、必ず命令には従わない。**議論ではなく、自分は執行しないと宣言している。命令が届かないところが一つでもあれば計画は成り立たない、という前段の指摘を、自分の管轄で実演したことになります。そして、その後に富弼を襲った讒言の様子が置かれます。**すでに河北の軍の人心を取り込んでしまった。**閲兵だけでこの疑いです。二千人を殺していたら、と編者は書きました。**欧陽脩の一言は、ただ二千人の命を生かしただけでなく、富弼をも大きな災いから免れさせた。**

この章句が説くこと

脩鎮州に至らば必ず命に従わじ富弼は命を擅にし権を専らにし自ら威福を作す富公帰りて国門に至るも入るを得ず公の一言は特だ二千人の命を活かすのみならず亦た富公を大禍より免れしむるなり諫止結果

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