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宋名臣言行録 / 後集巻二・富弼

神宗即位召赴闕公既至未見有於上前言災異皆天數非人事得失所致者公聞之嘆曰人君所畏惟天若不畏天何事不可為去亂亾無幾矣此必奸臣欲進邪說先導上以無所畏使輔拂諌争之臣無所復施其力此治亂之機也吾不可以不速救即上書數千言雜引洪範春秋及古今傳記人情物理以明其决不然者

新字:神宗即位召赴闕公既至未見有於上前言災異皆天数非人事得失所致者公聞之嘆曰人君所畏惟天若不畏天何事不可為去乱亾無幾矣此必奸臣欲進邪説先導上以無所畏使輔払諌争之臣無所復施其力此治乱之機也吾不可以不速救即上書数千言雑引洪範春秋及古今伝記人情物理以明其決不然者

書き下し

神宗即位す。召して闕に赴かしむ。公既に至るも未だ見えず。上前に於いて、災異は皆天數にして人事の得失の致す所に非ずと言う者有り。公之を聞きて嘆じて曰く、人君の畏るる所は惟だ天のみ。若し天を畏れずんば、何事か爲す可からざらん。亂亡を去ること幾ばく無し。此れ必ず奸臣の邪說を進めんと欲して、先ず上を導きて畏るる所無からしめ、輔弼諫爭の臣をして復た其の力を施す所無からしめんとするなり。此れ治亂の機なり。吾以て速やかに救わざる可からずと。即ち上書すること數千言。雜えて洪範・春秋及び古今の傳記・人情・物理を引きて、以て其の決して然らざる者を明らかにす。

現代語訳

神宗が即位した。召して都に赴かせた。富弼は着いたが、まだ拝謁していなかった。天子の前で、「災異はみな天の巡り合わせであって、人事の善し悪しが招いたものではない」と言う者があった。富弼はこれを聞いて嘆じて言った。「君主が畏れるものは、ただ天だけである。もし天を畏れなくなれば、何事ができないことがあろうか。乱れ亡びるまで、いくらもない。これは必ず、奸臣が邪説を進めようとして、まず主上を導いて畏れるものをなくさせ、輔佐し諫め争う臣に、力を振るう場をなくさせようとしているのだ。これこそ治乱の分かれ目である。私は急いで救わないわけにいかない」。すぐに上書すること数千言。『洪範』『春秋』および古今の伝記・人情・物理を取り混ぜて引き、それが決してそうでないことを明らかにした。

解説

災異が人事と無関係だ、という説自体は、今から見れば合理的にも見えます。富弼が読んだのは、その説が誰の手を空けるかでした。まず主上を導いて畏れるものをなくさせ、輔佐し諫め争う臣に、力を振るう場をなくさせようとしている。当時、天変は諫言の唯一の足場でした。それを外せば、諫める者は道具を失います。君主が畏れるものは、ただ天だけである。もし天を畏れなくなれば、何事ができないことがあろうか。理屈の正しさではなく、その理屈が通ったあとに何が消えるかを見ています。

この章句が説くこと

災異は皆天数にして人事の得失の致す所に非ず人君の畏るる所は惟だ天のみ若し天を畏れずんば何事か為す可からざらん輔弼諫争の臣をして復た其の力を施す所無からしめんとするなり天畏れ

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