宋名臣言行録 / 後集巻一・韓琦
公嘗謂忠義之心人皆有之惟其執之不固勉之不力是以不及於古人
書き下し
公嘗て謂う、忠義の心は人皆之有り。惟だ其の之を執ること固からず、之を勉むること力めざる、是を以て古人に及ばざるなりと。
現代語訳
韓琦はかつて言った。「忠義の心は、人みなが持っている。ただ、それを握り続けることが固くなく、努めることに力を入れないので、それゆえ古の人に及ばないのだ」。
解説
二十八字で、古人との差の説明を、資質から外しています。忠義の心は、人みなが持っている。持っていないのではない。差がついたのは、そのあとの二つでした。握り続けることが固くなく、努めることに力を入れない。心が起きるかどうかと、それを持ち続けられるかどうかは別の能力だ、という見方です。立派な人が特別な心を持っていたのではなく、同じ心を離さなかった。だから届く距離にある話になります。
この章句が説くこと
忠義の心は人皆之有り惟だ其の之を執ること固からず之を勉むること力めざる是を以て古人に及ばざるなり志持続
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・修身・碌碌一生、百事成る無し精到の識を以てし、堅持の心を用ひ、精進の力を運らせば、便ち是れ金石も穿つ可く、豚魚も格る可し。更に甚麼の做し難きの事功、造り難きの聖神か有らん。士君子碌碌として一生、百事成る無きは、只だ是れ志無きなり。
-
論語・季氏篇孔子曰く、「『善を見ては及ばざるが如くし、不善を見ては湯を探るが如くす。』吾其の人を見たり、吾其の語を聞けり。『隠居して以て其の志を成し、義を行いて以て其の道を達す。』吾其の語を聞けり、未だ其の人を見ざるなり。」
-
啓発録・振氣乍去、只此気の振立候而已にて志立ぬ時は、折節氷の解け酔のさむる如く、後還り致す事有之者に候。故に気一旦振立候へば、方に志立候事甚大切なり。
-
『慎思録』巻之六古来本邦の文学の士、往往詩文を作為することを喜ぶ。其の工夫甚だ苦し。然れども其の文字多しと雖も、中華の作に似ず、作文の法度無き者多し。惜しむべし、箇の無益の閑労擾を做し、枉げて心力を費やすことを。若し果たして道を求むるの志有らば、断じて此に到らじ。
-
『大和俗訓』巻之二・為学下一千里の道も一歩よりはじまる。たとへば遠き所に行くに、出でたつ足もとよりはじまりて、つとめ行きて止まざれば、とどかざる事なし。学んで道にいたるも亦かくの如くなるべし。志を立てて道をまなび、つとめ行ひて止まず、久しく年をつまば、などか其功を成して、遠大にいたらざらん。たとへば商人の一銭ををしみ、つみかさねて久しく年ふれば、大なる富人となるが如し。
-
葉隠・聞書第十一太閤秀吉公下賤(げせん)の時、諸朋輩(しょほうばい)寝静まりて後に、日本の主(あるじ)になりてよりの天下の仕置(しおき)、諸人への知行割(ちぎょうわ)り、毎夜書き立て、仕組(しく)み成されたる由なり。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見る