宋名臣言行録 / 後集巻一・韓琦
公屢薦歐陽公而仁宗不用他日復薦之曰韓愈唐之名士天下望以為相而竟不用使愈為之未必有補於唐而談者至今以為謗歐陽修今之韓愈也而陛下不用臣恐後之談者謗必及國不特臣也陛下何惜不一試之以曉天下後世也上從之
新字:公屢薦欧陽公而仁宗不用他日復薦之曰韓愈唐之名士天下望以為相而竟不用使愈為之未必有補於唐而談者至今以為謗欧陽修今之韓愈也而陛下不用臣恐後之談者謗必及国不特臣也陛下何惜不一試之以暁天下後世也上従之
書き下し
公屢ミ歐陽公を薦むるも、仁宗用いず。他日復た之を薦めて曰く、韓愈は唐の名士なり。天下望みて以て相と爲さんとするも、竟に用いられず。愈をして之を爲さしむるも、未だ必ずしも唐に補い有らざらん。而るに談ずる者今に至るまで以て謗りと爲す。歐陽脩は今の韓愈なり。而るに陛下用いず。臣恐る、後の談ずる者の謗り必ず國に及ばんことを。特だ臣のみならざるなり。陛下何ぞ一たび之を試みて、以て天下後世に曉らかにするを惜しむやと。上之に從う。
現代語訳
韓琦はたびたび欧陽脩を推薦したが、仁宗は用いなかった。後日また推薦して言った。「韓愈は唐の名士でした。天下は望んで宰相にしようとしましたが、ついに用いられませんでした。仮に韓愈が宰相になったとしても、必ずしも唐のためになったとは限りません。それでも論ずる者は、今に至るまでこれを唐の謗りとしております。欧陽脩は今の韓愈です。それを陛下は用いない。臣は恐れます、後の世に論ずる者の謗りが必ず国に及ぶことを。ただ臣が言うだけのことではありません。陛下、どうして一度試してみて、天下と後世に明らかにすることを惜しまれるのですか」。天子はこれに従った。
解説
推薦がすでに一度断られています。二度目は、人物の売り込み方を変えました。能力の主張から、後世の記録の話へ移しています。しかも、都合のよいところだけを取っていません。**仮に韓愈が宰相になったとしても、必ずしも唐のためになったとは限りません。**成果は保証しない。それでも唐は謗られ続けている、と続けます。**臣は恐れます、後の世に論ずる者の謗りが必ず国に及ぶことを。**そして最後は、決断の値段を下げました。**どうして一度試してみることを惜しまれるのですか。**
この章句が説くこと
公屢ミ欧陽公を薦むるも仁宗用いず愈をして之を為さしむるも未だ必ずしも唐に補い有らざらん而るに談ずる者今に至るまで以て謗りと為す陛下何ぞ一たび之を試みて以て天下後世に暁らかにするを惜しむや推薦後世
関連する章句
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『宋名臣言行録』後集巻一・韓琦英宗力めて辭す。宦官宮妾、勢い未だ便ならず。中外皆之を危ぶむ。公復た啓して曰く、陛下之に屬するに大任を以てして、肯えて當たらざるは、蓋し其の沉遠詳重にして、識慮人に過ぐる有り、他有るに非ざるなり。猶豫して決せざれば、讒慝を招き變故を生ず。且つ名未だ正しからざれば、則ち尚お以て辭するを得。名體一たび定まり、父子の分明らかなれば、則ち浮議も亦た復た搖がすを得ずと。
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『宋名臣言行録』後集巻一・韓琦公相位に在り、進め用うる所の人は惟だ公議の在る所を以てす。凡そ上前に薦引するも、未だ嘗て輒ち其の語を漏らさず。間ミ上に宣諭有るに因り、或いは同僚談說して、人始めて之を聞く。
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『宋名臣言行録』後集巻一・韓琦公一日、孔光傳を挾みて進對して曰く、漢の成帝立つこと二十五年、繼嗣無し。已に帝の弟の子定陶王を立てて太子と爲さんことを議す。成帝は中材の常主なるに、猶お能く之をなせり。陛下の明を以て、何ぞ此に難からんや。太祖、天下の爲に長慮し、澤は流れて今に至る。惟だ陛下、太祖の心を以て心と爲さば、則ち可ならざる無しと。仁宗感悟し、始めて英宗を以て宗正寺を判せしむ。
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『宋名臣言行録』後集巻一・韓琦公既に相印を解く。王丞相曰く、古人の未だ嘗てせざる所を爲し、大臣の敢えてせざる所に任ずと。天下以て名言と爲す。歐公も亦た曰く、進退の際、從容として餘り有り。德業兩つながら全く、謗讒自ら止む。周公に過ぐること遠しと。
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『宋名臣言行録』後集巻一・韓琦右司諫を以て職に供す。上に得失を明らかにし、朝廷の紀綱を正し、忠直に親近して邪佞を放逺せんことを勸む。時に災異數ミ見る。公、災變の屢ミ發するは執政者の才に非ざるに主ると以て、累りに上に言うも未だ納れらるるを見ず。公又た奏して曰く、豈に陛下輔弼を擇びて未だ其の人を得ざるかと。杜衍・范仲淹・孔道輔・宋郊・胥偃の若きは、衆以て忠正の臣と爲す、進擢に備う可し。然らずんば、嘗て用いる所の者、王曾・吕夷簡・蔡齊・宋綬も亦た人の屬望する所なりと。章十たび上るも報ぜられず。公䟽を抗げて出でんことを乞う。上乃ち宰臣王隨・陳堯佐、參政韓億・石中立等を罷む。
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『宋名臣言行録』後集巻一・韓琦又た曰く、沂公の相と爲るや、其の事を論ずれば則ち數う可き者無し。其の人を論ずれば則ち天下之を信じて以て賢相と爲す。申公は賢を進むるを以て自ら任じ、恩は己に歸す。時の士は皆其の籠絡より出づ。獨り歐・范・尹のみ旋ち收め旋ち之を失い、終に其の籠絡を受けずと。