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宋名臣言行録 / 後集巻一・韓琦

其所致虜之疑者七事髙麗臣屬契丹於朝廷久絶朝貢乃因商舶招諭而來於國家初無損益而契丹謂以圖我一也吐蕃部族不相君長未嘗為邉患而強取其地建熈河一路戕其老弱以數萬計契丹聞之當謂行將及我二也邉近四山地勢髙仰不可為溏濼向聞遣使部兵徧置榆栁以制虜騎三也

新字:其所致虜之疑者七事高麗臣属契丹於朝廷久絶朝貢乃因商舶招諭而来於国家初無損益而契丹謂以図我一也吐蕃部族不相君長未嘗為邉患而強取其地建熈河一路戕其老弱以数万計契丹聞之当謂行将及我二也邉近四山地勢高仰不可為溏濼向聞遣使部兵遍置榆栁以制虜騎三也

書き下し

其の虜の疑いを致す所の者七事あり。髙麗は契丹に臣屬し、朝廷に於いて久しく朝貢を絶つ。乃ち商舶に因りて招諭して來たらしむ。國家に於いて初め損益無きに、契丹は以て我を圖ると謂う。一なり。吐蕃の部族は相い君長とせず、未だ嘗て邊患を爲さざるに、強いて其の地を取りて熙河一路を建て、其の老弱を戕うこと數萬を以て計う。契丹之を聞かば、當に行く行く我に及ばんとすと謂うべし。二なり。邊に近き四山は地勢髙仰にして溏濼を爲す可からず。向に聞く、使いを遣わし兵を部して徧く楡柳を置き、以て虜騎を制すと。三なり。

現代語訳

契丹の疑いを招いたものは七つあります。高麗は契丹に臣属し、我が朝廷には久しく朝貢を絶っていました。それを商船を通じて招き諭し、来させました。国家にとってもともと損得はないのに、契丹はこれをもって我が国が自分を図っていると言っています。これが一つ目です。吐蕃の部族は互いを君長とすることなく、これまで辺境の患いとなったことがないのに、強引にその地を取って熙河一路を建て、その老人子供を殺すこと数万を数えます。契丹がこれを聞けば、いよいよ我が身に及ぼうとしていると言うにちがいありません。これが二つ目です。国境に近い四方の山は地勢が高く、池や沼を作ることができません。先ごろ聞くところでは、使いを遣わし兵を配して一面に楡と柳を植え、それで契丹の騎兵を防ごうとしているとのことです。これが三つ目です。

解説

こちらが良かれと思ってやった三つが、そのまま相手の疑いの材料として並べられます。高麗を招いたのは外交上の得点、吐蕃の地を取ったのは版図の拡大、楡と柳を植えたのは騎兵よけの守りでした。**国家にとってもともと損得はないのに、契丹はこれをもって我が国が自分を図っていると言っている。**意図がどうであれ、隣国は形だけを見ます。とくに二つ目は重い。**その地を取って、老人子供を殺すこと数万を数えます。**やった事の中身も、隣から見える形も、どちらも書いてあります。

この章句が説くこと

其の虜の疑いを致す所の者七事あり国家に於いて初め損益無きに契丹は以て我を図ると謂う其の老弱を戕うこと数万を以て計う遍く楡柳を置き以て虜騎を制す外交疑心

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