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宋名臣言行録 / 後集巻一・韓琦

熈寧七年春契丹遣汛使蕭禧來言代北對境有侵地請遣使分畫帝遣中使賜富弼韓琦文彦博曾公亮手詔問以計䇿公䟽曰臣觀近年以來朝廷舉事則似不以大敵為恤虜人見形生疑必謂我有圖復燕南之意故造此釁端屢遣使以争理地界為名觀我應之之術如何爾

新字:熈寧七年春契丹遣汛使蕭禧来言代北対境有侵地請遣使分画帝遣中使賜富弼韓琦文彦博曽公亮手詔問以計策公䟽曰臣観近年以来朝廷舉事則似不以大敵為恤虜人見形生疑必謂我有図復燕南之意故造此釁端屡遣使以争理地界為名観我応之之術如何爾

書き下し

熙寧七年春、契丹汎使蕭禧を遣わして來たり、代北の對境に侵地有りと言い、使いを遣わして分畫せんことを請う。帝、中使を遣わして富弼・韓琦・文彦博・曾公亮に手詔を賜い、問うに計策を以てす。公疏して曰く、臣近年以來を觀るに、朝廷の事を舉ぐるは則ち大敵を以て恤と爲さざるに似たり。虜人形を見て疑いを生じ、必ず我に燕南を圖復するの意有りと謂う。故に此の釁端を造り、屢ミ使いを遣わして地界を爭い理すを以て名と爲し、我が之に應ずるの術の如何を觀るのみ。

現代語訳

熙寧七年(一〇七四)春、契丹が臨時の使者である蕭禧を遣わして来て、代北の向かい合う境に侵された地があると言い、使いを遣わして境界を分け直すよう請うた。天子は中使を遣わして富弼・韓琦・文彦博・曾公亮に直筆の詔を賜い、対策を問うた。韓琦は上疏して言った。「臣が近年以来を見ますに、朝廷の事の起こし方は、大きな敵を気にかけていないかのようです。契丹の者は、その形を見て疑いを生じ、我が国に燕南を取り返す意図があるにちがいないと思っている。だからこの争いの糸口を作り、たびたび使いを遣わして境界を争い正すことを名目とし、我が国がそれにどう応じるかを見ているだけなのです」。

解説

国境の主張として来た要求を、韓琦は要求として読みませんでした。我が国がそれにどう応じるかを見ているだけなのです。土地が欲しいのではなく、反応を測りに来ている、という読み方です。そして原因をこちら側に置きました。朝廷の事の起こし方は、大きな敵を気にかけていないかのようです。契丹の者は、その形を見て疑いを生じている。相手の悪意ではなく、こちらの動きが疑いを作った。この立て方があるので、次の段の「疑いを招いた七事」が、そのまま内政の点検表になります。

この章句が説くこと

朝廷の事を舉ぐるは則ち大敵を以て恤と為さざるに似たり虜人形を見て疑いを生じ必ず我に燕南を図復するの意有りと謂う地界を争い理すを以て名と為す我が之に応ずるの術の如何を観るのみ外交疑心

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