宋名臣言行録 / 後集巻一・韓琦
且今古異制貴於便時周禮所在有不可施於今者其事非一若謂泉府一職今可施行則上言以官錢買在市不售及民間積滯之貨候民急求則依原買價與之民有祭祀䘮紀就官中借物限旬日三月還官而不取其利制置司何不將此周公太平已試之法盡申明而行之豈可獨舉注䟽貸錢取息之利事以詆天下之公言哉
新字:且今古異制貴於便時周礼所在有不可施於今者其事非一若謂泉府一職今可施行則上言以官銭買在市不售及民間積滞之貨候民急求則依原買価与之民有祭祀喪紀就官中借物限旬日三月還官而不取其利制置司何不将此周公太平已試之法尽申明而行之豈可独舉注䟽貸銭取息之利事以詆天下之公言哉
書き下し
且つ今古制を異にし、時に便なるを貴ぶ。周禮の在る所、今に施す可からざる者有り、其の事一に非ず。若し泉府の一職、今施行す可しと謂わば、則ち上に言う、官錢を以て市に在りて售れざる及び民間に積滯するの貨を買い、民の急に求むるを候ちて則ち原の買價に依りて之に與え、民に祭祀喪紀有らば官中に就きて物を借り、旬日三月を限りて官に還さしめて其の利を取らず、と。制置司何ぞ此の周公太平已に試みるの法を將て盡く申明して之を行わざるや。豈に獨り注疏の錢を貸して利を取るの一事を舉げて、以て天下の公言を詆る可けんや。
現代語訳
そのうえ、今と古とでは制度が異なり、その時に都合のよいことを貴びます。周礼にあることで、今に施すことのできないものは、一つや二つではありません。もし泉府という一つの職掌が今も施行できると言うのなら、先に述べたとおり、官の銭で市で売れない品や民間で積み滞った品を買い、民が急いで求めるのを待って元の買値のままこれに与え、民に祭祀や喪があれば官から品を借り、十日・三月を限って官に返させて、その利を取らない。制置司はどうしてこの、周公が太平の世にすでに試した法を、ことごとく明らかにして行わないのですか。どうして注疏の中の『銭を貸して利を取る』という一事だけを挙げて、天下の公論をそしることができましょうか。
解説
上疏の締めくくりで、韓琦は相手の土俵ごと持ち上げます。周礼が根拠になるなら、周礼の全部が根拠になるはずだ、という筋です。**官の銭で売れない品を買い、元の買値のまま与え、祭祀や喪には利を取らずに貸す。**同じ書物に、そう書いてある。**どうしてこの、周公が太平の世にすでに試した法を、ことごとく明らかにして行わないのですか。**そして最後の一行に、この論争の性質が出ます。**どうして『銭を貸して利を取る』という一事だけを挙げて、天下の公論をそしれましょうか。**都合のよい一条だけを選ぶことを、選んだ本人の権威で否定させました。
この章句が説くこと
今古制を異にし時に便なるを貴ぶ周礼の在る所今に施す可からざる者有り其の事一に非ず旬日三月を限りて官に還さしめて其の利を取らず豈に独り注疏の銭を貸して利を取るの一事を舉げて以て天下の公言を詆る可けんや根拠選択
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