宋名臣言行録 / 後集巻一・韓琦
按周禮泉府掌以市之征布歛市之不售貨之滯於民用者以其價買之物掲而書之以待不時而買者買者各從其抵鄭衆釋云書其價掲着其物也不時買者謂急求也抵故價也臣謂周制民有貨在市而無人買或有積滯而妨民用者則官以時價買之書其物價示民若有急求者則以官原買價與之此所謂王道也
新字:按周礼泉府掌以市之征布歛市之不售貨之滞於民用者以其価買之物掲而書之以待不時而買者買者各従其抵鄭衆釈云書其価掲着其物也不時買者謂急求也抵故価也臣謂周制民有貨在市而無人買或有積滞而妨民用者則官以時価買之書其物価示民若有急求者則以官原買価与之此所謂王道也
書き下し
按ずるに、周禮の泉府は、市の征布を以て、市の售れざる、貨の民用に滯る者を斂め、其の價を以て之を買うを掌る。物は掲げて之を書し、以て不時にして買う者を待つ。買う者は各ミ其の抵に從う。鄭衆釋して云う、其の價を書し、其の物に掲着するなり。不時に買う者とは急に求むるを謂うなり。抵とは故の價なりと。臣謂えらく、周制は民に貨の市に在りて人の買う無く、或いは積滯有りて民用を妨ぐる者有らば、則ち官時價を以て之を買い、其の物價を書して民に示す。若し急に求むる者有らば、則ち官の原の買價を以て之に與う。此れ所謂王道なり。
現代語訳
調べますに、周礼の泉府という役所は、市の税として納められた布をもって、市で売れないもの、品物で民の用に滞っているものを集め、その値でこれを買い取ることを司ります。品物は掲げて値を書き付け、随時買いに来る者を待ちます。買う者はそれぞれ元の値に従います。鄭衆の解釈に言います。「その値を書いて、その品に掲げ付ける。随時買う者とは、急いで求める者をいう。抵とは元の値である」。臣が思いますに、周の制度では、民が市に品を持っていて買い手がなく、あるいは積み滞って民の用を妨げるものがあれば、官が時価でこれを買い、その品と値を書いて民に示す。もし急いで求める者があれば、官が元々買った値でこれを与える。これがいわゆる王道であります。
解説
青苗法の根拠とされた周礼の泉府を、韓琦は原文から読み直します。泉府がしていたのは、売れ残りを時価で買い取り、必要な者には**官が元々買った値でこれを与える**ことでした。買う値と渡す値が同じです。つまり官は差額を取っていない。市の値を動かさないために間に立つ役所であって、資金を貸して利を稼ぐ役所ではない、という読み方です。**これがいわゆる王道であります。**根拠にされた条文そのものを、根拠にならない形で読み切っていく。ここから三段、原典の引用が続きます。
この章句が説くこと
市の售れざる貨の民用に滞る者を斂め其の価を以て之を買う物は掲げて之を書し以て不時にして買う者を待つ若し急に求むる者有らば則ち官の原の買価を以て之に与う此れ所謂王道なり原典利