宋名臣言行録 / 前集巻十・蘇洵
辨姦略云山巨源見王衍曰誤天下蒼生者必此人也郭汾陽見盧杞曰此人得志吾子孫無遺類矣自今言之其理固有可見者以吾觀之王衍之為人也容貌言語固有以欺世而盗名者然使晉無惠帝雖衍百千何從而亂天下乎盧□之姦固足以敗國然不學無文非徳宗之鄙暗亦何從而用之由是言之二公之料二子亦容有未必然也
新字:弁姦略云山巨源見王衍曰誤天下蒼生者必此人也郭汾陽見盧杞曰此人得志吾子孫無遺類矣自今言之其理固有可見者以吾観之王衍之為人也容貌言語固有以欺世而盗名者然使晉無恵帝雖衍百千何従而乱天下乎盧□之姦固足以敗国然不学無文非徳宗之鄙暗亦何従而用之由是言之二公之料二子亦容有未必然也
書き下し
辨姦の略に云う、山巨源、王衍を見て曰く、天下の蒼生を誤る者は必ず此の人なりと。郭汾陽、盧杞を見て曰く、此の人志を得ば、吾が子孫遺類無からんと。今より之を言えば、其の理固より見る可き者有り。吾を以て之を觀るに、王衍の人と爲りや、容貌言語、固より以て世を欺きて名を盗む者有り。然れども晉をして惠帝無からしめば、衍百千と雖も、何に從いて天下を亂さんや。盧□の姦、固より以て國を敗るに足る。然れども不學無文、徳宗の鄙暗に非ずんば、亦た何に從いて之を用いんや。是に由りて之を言えば、二公の二子を料るも、亦た未だ必ずしも然らざること有るを容る。
現代語訳
「弁姦論」の要旨はこうである。山濤は王衍を見て言った。「天下の民を誤らせるのは、必ずこの人だ」。郭子儀は盧杞を見て言った。「この人が志を得たら、私の子孫は一人も残るまい」。いま改めて言えば、その言い分には確かに見るべき筋がある。しかし私の見るところ、王衍の人となりは、容貌も言葉つきも、たしかに世を欺いて名を盗むところがあった。とはいえ、もし晋に恵帝がいなかったなら、王衍が百人千人いたところで、どうやって天下を乱せただろうか。盧〔一字を欠く〕の奸は、たしかに国を破るに足る。しかし学が無く文も無いのだから、徳宗の卑しく暗いのでなければ、どうやって用いられただろうか。こう言ってみれば、あの二人が二人を見立てたことも、必ずしもそのとおりとは言えない余地がある。
解説
この章句が説くこと
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