宋名臣言行録 / 前集巻十・胡瑗
侍講讀乾元亨利貞不避諱上與左右皆失色侍講徐曰臨文不諱上意遂解
新字:侍講読乾元亨利貞不避諱上与左右皆失色侍講徐曰臨文不諱上意遂解
書き下し
侍講、「乾、元亨利貞」を讀みて諱を避けず。上と左右と皆失色す。侍講徐ろに曰く、文に臨みては諱まずと。上の意遂に解く。
現代語訳
胡瑗が『易』の「乾は、元亨利貞」を読み上げたとき、天子の諱を避けなかった。仁宗も左右の者もみな顔色を失った。胡瑗はゆっくりと言った。「文に臨んでは諱まない」。天子の気持ちはそれで解けた。
解説
仁宗の諱は禎。「貞」はその音に触れるので、口に出すときは言い換えるのが当時の作法でした。読み上げたその場で全員の顔色が変わっている。胡瑗はあわてず、根拠を一句だけ返しました。**文に臨んでは諱まない。**書かれた文をそのまま読む場では避けない、という『礼記』曲礼の定めです。言い訳ではなく、依るべき決まりのほうを出した。三十字の条です。
この章句が説くこと
乾元亨利貞を読みて諱を避けず上と左右と皆失色す文に臨みては諱まず礼根拠平静
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