宋名臣言行録 / 前集巻九・孫奭
爲國子監直講太宗幸監詔公講尚書說命三篇公年少位下然音讀詳潤帝稱善因歎曰天以良弼賚商朕獨不得耶因以切勵輔臣賜公緋章服
新字:為国子監直講太宗幸監詔公講尚書説命三篇公年少位下然音読詳潤帝称善因嘆曰天以良弼賚商朕独不得耶因以切勵輔臣賜公緋章服
書き下し
國子監直講と爲る。太宗、監に幸す。詔して公に尚書の說命三篇を講ぜしむ。公、年少く位下し。然れども音讀詳潤なり。帝、善しと稱す。因りて歎じて曰く、天、良弼を以て商に賚う。朕、獨り得ざらんやと。因りて以て輔臣を切勵し、公に緋の章服を賜う。
現代語訳
国子監の直講となった。太宗が監に行幸した。詔を下して公に『尚書』の説命三篇を講じさせた。公は年が若く位も低かった。それでも音読は詳しく潤いがあった。帝はよしと称した。そして嘆じて言った。「天は良い輔佐を殷に授けた。私だけが得られないだろうか」。そこで輔佐の臣たちを励まし戒め、公に緋の礼服を賜った。
解説
若く位も低い人に、講義をさせた条です。講じた「説命」は、殷の高宗が傅説という賢臣を得る篇でした。**天は良い輔佐を殷に授けた。私だけが得られないだろうか。**講義の中身が、そのまま帝の嘆きになっています。そして輔佐の臣たちを励まし戒めた。講義が、その場の人事への注文に変わっている。**音読は詳しく潤いがあった**という一行が、若い講師の唯一の武器でした。
この章句が説くこと
詔して公に尚書の説命三篇を講ぜしむ公年少く位下し然れども音読詳潤なり天良弼を以て商に賚う朕独り得ざらんや講義抜擢人材
関連する章句
-
論語・雍也篇子游、武城の宰と為る。子曰く、「女、人を得たるか。」曰く、「澹台滅明なる者有り。行くに径に由らず。公事に非ざれば、未だ嘗て偃の室に至らざるなり。」
-
論語・泰伯篇舜に臣五人有りて、天下治まる。武王曰く、「予に乱臣十人有り。」孔子曰く、「『才難し』とは、其れ然らずや。唐虞の際、斯に於いて盛んなりと為す。婦人有り、九人のみ。天下を三分して其の二を有ち、以て殷に服事す。周の徳は、其れ至徳と謂う可きのみ。」
-
孫子・作戦篇其の戦を用うるや、勝つを貴ぶ。久しければ則ち兵を鈍らせ鋭を挫き、城を攻むれば則ち力屈し、久しく師を暴せば則ち国用足らず。
-
尉繚子・武議良馬も策有れば、遠道致すべし。賢士も合有れば、大道明らかにすべし。
-
『韓非子』難二第三十七桓公曰く、「吾聞く、人に君たる者は人を索むるに労し、人を使うに佚すと。吾仲父を得ること已に難し。仲父を得るの後、何為れぞ易からざらんや。」
-
論語・衛霊公篇子曰く、君子は小知す可からずして、大受す可きなり。小人は大受す可からずして、小知す可きなり。