宋名臣言行録 / 前集巻九・田錫
真宗見錫色必莊嘗目之曰朕之汲黯也錫疾亟進遺表真宗宣御醫馳救之無及矣俄召宰相對袖出其表示之且曰朕自臨大寳閱是表者多矣非祈澤宗族則希恩子孫未有如錫生死以國家爲慮而儆於朕者興歎久之命優贈典
新字:真宗見錫色必荘嘗目之曰朕之汲黯也錫疾亟進遺表真宗宣御医馳救之無及矣俄召宰相対袖出其表示之且曰朕自臨大宝閲是表者多矣非祈沢宗族則希恩子孫未有如錫生死以国家為慮而儆於朕者興嘆久之命優贈典
書き下し
真宗、錫を見れば色必ず莊なり。嘗て之を目して曰く、朕の汲黯なりと。錫、疾亟なり。遺表を進む。真宗、御醫を宣して馳せて之を救わしむ。及ぶ無し。俄かに宰相を召して對す。袖より其の表を出だして之に示す。且つ曰く、朕、大寳に臨みてより是の表を閱する者多し。宗族に澤を祈るに非ずんば則ち子孫に恩を希う。未だ錫の生死、國家を以て慮りと爲して朕を儆むる者の如きは有らずと。歎ずること之を久しくす。命じて優に贈典す。
現代語訳
真宗は田錫を見ると、必ず顔つきが引き締まった。かつてその人を見て言った。「私の汲黯だ」。田錫の病が重くなった。遺言の上表を差し出した。真宗は御医に命じて急いで救わせた。間に合わなかった。ほどなく宰相を召して会った。袖からその上表を取り出して見せた。そのうえ言った。「私は帝位に就いてから、こうした上表を読むことが多かった。一族に恩沢を祈るのでなければ、子孫に恩を求めるものであった。田錫のように、生きるも死ぬも国家のことを慮って私を戒める者は、まだいなかった」。長いあいだ嘆じた。命じて手厚く贈位した。
解説
死ぬ間際に出した上表が、何も求めていなかった条です。帝が比べています。私は帝位に就いてから、こうした上表を読むことが多かった。一族に恩沢を祈るのでなければ、子孫に恩を求めるものであった。遺言の場が、最後の願い事の場になっている。田錫のように、生きるも死ぬも国家のことを慮って私を戒める者は、まだいなかった。顔を見るだけで顔つきが引き締まる相手を、「私の汲黯だ」と呼んでいました。
この章句が説くこと
朕の汲黯なり宗族に沢を祈るに非ずんば則ち子孫に恩を希う未だ錫の生死国家を以て慮りと為して朕を儆むる者の如きは有らず遺言無私直言
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