宋名臣言行録 / 前集巻八・狄青
公事親孝遭父䘮雖衽金革之事而哀戚過人養母尤篤征南之日懼遺其憂戒内外不以治兵事聞第云奉使江表而巳始行至邕㑹瘴霧之氣昬鬱中人或謂賊流毒水中飲者多死忽一夕泉湧於郊汲之甘冽遂濟其衆
新字:公事親孝遭父喪雖衽金革之事而哀戚過人養母尤篤征南之日懼遺其憂戒内外不以治兵事聞第云奉使江表而巳始行至邕会瘴霧之気昏鬱中人或謂賊流毒水中飲者多死忽一夕泉湧於郊汲之甘冽遂済其衆
書き下し
公、親に事えて孝なり。父の䘮に遭う。金革の事を衽すと雖も、哀戚、人に過ぐ。母を養うこと尤も篤し。征南の日、其の憂いを遺さんことを懼る。内外を戒めて兵事を以て聞せしめず。第だ江表に奉使すと云うのみ。始め行きて邕に至る。㑹々瘴霧の氣、昬鬱として人に中つ。或るひと謂う、賊、毒を水中に流す。飲む者多く死すと。忽ち一夕、泉、郊に湧く。之を汲むに甘冽なり。遂に其の衆を濟う。
現代語訳
公は親に仕えて孝であった。父の喪に遭った。武具に身を包む務めにありながら、悲しみは人に勝っていた。母を養うことがとりわけ篤かった。南征の日には、母に憂いを残すことを恐れた。内外を戒めて、軍事のことを耳に入れさせなかった。ただ「江南へ使いに行く」とだけ言った。出発して邕州に着いた。ちょうど瘴気が暗く立ちこめて人を害した。ある者が言った。「賊が毒を水の中に流している。飲んだ者は多く死ぬ」。突然、ある夜、泉が郊外に湧いた。汲んでみると甘く冷たかった。そこで軍勢を救った。
解説
母に、南征のことを知らせなかった条です。内外を戒めて軍事のことを耳に入れさせず、ただ「江南へ使いに行く」とだけ言った。功名を告げるためではなく、心配をかけないための伏せ方です。前の巻で読んだ、行き先を伏せて軍を動かす手と、形は同じで向きが逆になっている。後半は邕州で泉が湧いた話で、これは瑞祥として置かれています。
この章句が説くこと
征南の日其の憂いを遺さんことを懼る内外を戒めて兵事を以て聞せしめず第だ江表に奉使すと云うのみ忽ち一夕泉郊に湧く之を汲むに甘冽なり孝秘匿母
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