宋名臣言行録 / 前集巻八・狄青
及行率衆日不過一驛所至州輙休士一日至潭州遂立行伍明約束軍行止皆成行列至於荷鍤裹粮持守禦之備皆有區處軍人有奪逆旅菜一把者斬之以狥於是一軍肅然無敢出聲氣萬餘人行未嘗聞聲青毎止郵驛四面嚴兵每門皆諸司使二人無人得妄出入求見青者無不即時得通其野宿皆成營栅青所居四面陳兵彀弓弩皆數重所將精鋭列布左右守衛甚嚴方青之未至諸將屢敗屢走皆以爲常至是知桂州陳某知英州蘇緘與賊戰復敗走如常時青至賔州悉召陳與禆校凡三十二人數其罪按軍法斬之惟蘇緘在某所使械繫上聞於是軍中人人奮勵有死戰之心
新字:及行率衆日不過一駅所至州輙休士一日至潭州遂立行伍明約束軍行止皆成行列至於荷鍤裹粮持守禦之備皆有区処軍人有奪逆旅菜一把者斬之以狥於是一軍粛然無敢出声気万余人行未嘗聞声青毎止郵駅四面厳兵毎門皆諸司使二人無人得妄出入求見青者無不即時得通其野宿皆成営栅青所居四面陳兵彀弓弩皆数重所将精鋭列布左右守衛甚厳方青之未至諸将屢敗屢走皆以為常至是知桂州陳某知英州蘇緘与賊戦復敗走如常時青至賔州悉召陳与禆校凡三十二人数其罪按軍法斬之惟蘇緘在某所使械繋上聞於是軍中人人奮勵有死戦之心
書き下し
行くに及び、衆を率いて日に一驛に過ぎず。至る所の州、輙ち士を休むること一日。潭州に至る。遂に行伍を立て約束を明らかにす。軍の行止、皆な行列を成す。鍤を荷い粮を裹み、守禦の備えを持するに至るまで、皆な區處有り。軍人の逆旅の菜一把を奪う者有り。之を斬りて以て狥う。是に於て一軍肅然として、敢えて聲氣を出だす無し。萬餘人行きて未だ嘗て聲を聞かず。青、毎に郵驛に止まる。四面、兵を嚴にす。門毎に皆な諸司使二人あり。人の妄りに出入するを得る無し。青に見えんことを求むる者は、即時に通ずるを得ざる無し。其の野宿は皆な營栅を成す。青の居る所、四面兵を陳ね、弓弩を彀くこと皆な數重。將いる所の精鋭、左右に列布して守衛甚だ嚴なり。青の未だ至らざるに方たり、諸將屢々敗れ屢々走る。皆な以て常と爲す。是に至り、桂州を知る陳某・英州を知る蘇緘、賊と戰いて復た敗走すること常の時の如し。青、賔州に至る。悉く陳と禆校凡そ三十二人を召し、其の罪を數えて軍法に按じて之を斬る。惟だ蘇緘のみ某の所に在り。械繫して上に聞せしむ。是に於て軍中、人人奮勵して死戰の心有り。
現代語訳
出発してから、軍を率いて一日に一駅を越えなかった。着いた州では、そのつど一日兵を休ませた。潭州に着いた。そこで隊列を立て、規律を明らかにした。軍の進退は、みな行列をなした。鋤を担ぎ糧を包み、守りの備えを持つことに至るまで、みな決まりがあった。軍人で宿屋の野菜を一束奪った者があった。これを斬って見せしめにした。そこで全軍は粛然として、あえて声を出す者がなかった。一万余人が行軍して、一度も物音を聞かなかった。狄青は駅に泊まるたび、四方の警備を厳しくした。門ごとに諸司使を二人置いた。誰もみだりに出入りできなかった。狄青に会いたいと願う者は、その場ですぐ取り次がれないことがなかった。野宿するときは、みな柵で営を作った。狄青のいる所は、四方に兵を並べ、弓と弩を引いて構えることが何重にもなった。率いてきた精鋭が左右に配置され、警護はたいそう厳しかった。狄青がまだ着かないうちは、諸将はたびたび敗れ、たびたび逃げた。みなそれを当たり前としていた。ここに至って、桂州の長官の陳某と英州の長官の蘇緘が、賊と戦ってまた敗走した。いつものとおりであった。狄青は賓州に着いた。陳某と副官ら合わせて三十二人をことごとく召し、その罪を数え上げて軍法に照らして斬った。ただ蘇緘だけは他所にいた。枷にかけて朝廷に報告させた。そこで軍中は、人という人が奮い立って死戦の心を持った。
解説
この章句が説くこと
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孫子・行軍篇杖つきて立つ者は、饑うるなり。汲みて先ず飲む者は、渇するなり。利を見て進まざる者は、労るるなり。鳥集まる者は、虚しきなり。夜呼ぶ者は、恐るるなり。軍擾るる者は、将重からざるなり。旌旗動く者は、乱るるなり。吏怒る者は、倦みたるなり。馬に粟して肉食し、軍に懸缻無く、其の舎に返らざる者は、窮寇なり。諄諄翕翕として、徐ろに人と言う者は、衆を失うなり。
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『韓非子』難一第三十六今赫は僅かに驕侮せざるのみにして、襄子之を賞するは、是れ賞を失うなり。明主は賞を無功に加えず、罰を無罪に加えず。
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孫子・行軍篇數々賞する者は、窘するなり。數々罰する者は、困しむなり。先に暴にして後に其の衆を畏るる者は、不精の至りなり。来たりて委謝する者は、休息を欲するなり。
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『韓非子』二柄第七明主の其の民を導制する所の者は、二柄のみ。二柄とは、刑・徳なり。
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『韓非子』外儲説右下第三十五賞罰共にすれば則ち禁令行われず。何を以て之を明らかにせん。之を明らかにするに造父・於期を以てす。
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呂氏春秋・義賞①春氣至れば則ち草木産し、秋氣至れば則ち草木落つ。産と落とは之を使しむるもの或り。自ら然るに非ざるなり。故に之を使しむる者至れば、物為さざる無く、之を使しむる者至らざれば、物為す可き無し。古の人、其の使しむる所以を審らかにす、故に物、用を為さざる莫し。賞罰の柄、此れ上の使しむる所以なり。其の以て加うる所の者義なれば、則ち忠信親愛の道彰わる。久しく彰われて愈々長ずれば、民の之に安んずること性の若し。此を之れ教成ると謂う。教成れば則ち厚賞嚴威有りと雖も禁ずること能わず。故に善く教うる者は、義以て賞罰して教成り、教成りて賞罰禁ずること能わず。賞罰を用いて當らざるも亦た然り。姦偽賊亂貪戻の道興り、久しく興りて息まざれば、民の之を讎うること性の若し。戎夷胡貉巴越の民は、是を以て厚賞嚴罰有りと雖も、禁ずること能わず。郢人の兩版を以て垣するや、吳起之を變じて惡まる。賞罰易れば民安くんぞ樂しまん。氐羌の民、其れ虜となるや、其の係纍を憂えずして、其の死するに焚かれざるを憂うるは、皆、邪に成り、且つ成りて民を賊う。故に賞罰の加うる所は、慎まざる可からず。