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宋名臣言行録 / 前集巻七・种世衡

元昊于是疑野利隂遣愛將假為野利使使于將軍將軍知元昊所遣未即見命屬官入館勞之問虜中山川地形在興州左右言則詳迫野利所部多不能悉適擒生虜數人因令隙中視之生虜能言其姓名果元昊使將軍意決乃見之使者傳野利語將軍慢罵元昊而稱野利有心内附乃厚遣使者曰為吾語若王速決無遲留也度使者至嵩即還而野利已報死矣

新字:元昊于是疑野利陰遣愛将仮為野利使使于将軍将軍知元昊所遣未即見命属官入館労之問虜中山川地形在興州左右言則詳迫野利所部多不能悉適擒生虜数人因令隙中視之生虜能言其姓名果元昊使将軍意決乃見之使者伝野利語将軍慢罵元昊而称野利有心内附乃厚遣使者曰為吾語若王速決無遅留也度使者至嵩即還而野利已報死矣

書き下し

元昊、是に於て野利を疑う。隂かに愛將を遣わし、假りて野利の使いと為して將軍に使いせしむ。將軍、元昊の遣わす所なるを知り、未だ即ちには見えず。屬官に命じて館に入りて之を勞わしむ。虜中の山川・地形を問う。興州の左右に在るは則ち言うこと詳らかなり。野利の所部に迫れば、多くは悉くする能わず。適ま生虜數人を擒う。因りて隙中に之を視しむ。生虜、能く其の姓名を言う。果たして元昊の使いなり。將軍の意決す。乃ち之に見ゆ。使者、野利の語を傳え、將軍に元昊を慢罵して、野利、内附するに心有りと稱す。乃ち厚く使者を遣りて曰く、吾が為に若の王に語れ、速やかに決して遲留する無かれと。使者の至るを度るに、嵩即ち還る。而して野利、已に死を報ず。

現代語訳

元昊はそこで野利を疑った。ひそかに気に入りの将を遣わし、野利の使者と偽って将軍のもとへ使いさせた。将軍は元昊の遣わした者だと分かって、すぐには会わなかった。属官に命じて館に入ってねぎらわせた。敵地の山川と地形を尋ねた。興州の周辺については詳しく答えた。野利の管轄に迫ると、たいてい詳しく言えなかった。ちょうど捕虜を数人捕らえていた。そこで隙間から覗かせた。捕虜はその姓名を言うことができた。はたして元昊の使者であった。将軍の考えは決まった。そこで会った。使者は野利の言葉を伝えるといって、将軍に向かって元昊を口汚く罵り、野利には内々に帰属する心がある、と称した。そこで厚く遇して使者を帰し、言った。「私のためにおまえの王に伝えよ。速やかに決断して、ぐずぐずするな」。使者が着くころを見計らって、王嵩は帰された。そして野利は、もう死んだと報せがあった。

解説

偽の使者を、会う前に見分けた条です。やり方が具体的でした。属官に館でねぎらわせ、敵地の山川と地形を尋ねる。興州の周辺は詳しく、野利の管轄に迫ると答えられない。そのうえで捕虜に隙間から覗かせて、姓名まで確かめています。見分けたうえで、知らないふりをして会いました。そして「私のためにおまえの王に伝えよ。速やかに決断して、ぐずぐずするな」。偽の使者に、本物の答えを持ち帰らせています。

この章句が説くこと

虜中の山川地形を問う興州の左右に在るは則ち言うこと詳らかなり野利の所部に迫れば多くは悉くする能わず吾が為に若の王に語れ速やかに決して遅留する無かれ見破り偽装離間

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